先発と控えの差――代打出塁率リーグワーストのヤクルト、坂口ら加入で戦力底上げになるか
強力打線を武器に14年ぶりにセリーグを制したヤクルトだったが、実はレギュラーと控えの力に差があったことは否めない。特に代打出塁率はワースト。来年、坂口・鵜久森が加入し、激しい外野のレギュラー争いが予想されるが、それが戦力底上げにつながるか。
2015/12/14
代打出塁率が.260に終わった2015年
10月29日、神宮球場で行われた日本シリーズ第5戦。ソフトバンクが日本一を決めた裏で、一人の男の選手生活が終わりを告げた。ヤクルトで17年間プレーした松元ユウイチである。
野手最年長の34歳として迎えた2015年シーズン。オープン戦で打率.600と結果を残し、開幕戦に6番右翼で出場した。左の代打の切り札としてチームに貢献してきたベテランが、初めて掴んだ「開幕スタメン」という栄誉だった。
今季は打率.170という不本意な成績に終わったが、14年ぶりの優勝に貢献した一人であったことは間違いない。マジック点灯がかかった9月27日の巨人戦で、ベンチ前で肩を組みチームを結束させたのも、ユウイチの発案だった。
ユウイチの通算成績は546試合で打率.263、11本塁打、115打点。代打では2014年に66回起用され、60打数19安打11打点、打率.317、出塁率は.364と持ち味の勝負強さを発揮した。 しかし、今季は34回の起用で31打数7安打4打点、打率.226、出塁率.294と前年よりも成績を落とす結果になってしまった。
ユウイチの不調もあって、今季のヤクルトの代打打率はリーグワースト2位の.210、出塁率に関しては同ワーストの.260という結果に終わった。
ヤクルトの代打陣で起用回数上位5人の成績は、集計すると以下の通りとなった。
田中浩康 起用回数57回 52打数12安打8打点1本塁打 打率.231 出塁率.298
森岡良介 起用回数55回 50打数11安打6打点1本塁打 打率.220 出塁率.259
ユウイチ 起用回数34回 31打数7安打4打点 打率.226 出塁率.294
今浪隆博 起用回数29回 26打数9安打2打点 打率.346 出塁率.393
荒木貴裕 起用回数28回 27打数3安打1打点 打率.111 出塁率.143
起用回数が20回以上の選手では、今浪隆博が打率.346、出塁率.393と唯一3割を超え、好結果を残したが、その他の打者は、相手チームに脅威を与えるには物足りない数字が並ぶ。
また、今浪は大引との併用でスタメンで使われることもあるため、いわゆる代打の“スペシャリスト”がいなかった現状を示している。
同一チームて打撃3部門を独占した3人(首位打者・川端、本塁打王・山田、打点王・畠山)の成績を含めたチーム自体の出塁率は.322でリーグ1位。しかし、代打だけの出塁率は最下位である。
スタメンと控えの差が顕著に表れた数字となってしまった。