村上宗隆は“全盛期の王貞治”も射程圏内。“王以外”なら歴代トップの打撃指標に
2022/08/14
産経新聞社
村上から見る「もしも王がMLBに挑戦していたら」
村上については以前の企画の2020年編で、リーグトップのwRAAを記録したことを紹介した。これは高卒3年目のシーズンのことであった。そしてそこでは、「高卒3年目までにwRAAでリーグトップとなった場合、例外なくレジェンドになっている」旨についても紹介している。この条件に当てはまるのは、川上哲治、中西太、張本勲、イチロー、そして村上の5人だけだ。それから2年経った現在から見ても、村上は順調にレジェンドへの道を歩んでいると言っていいだろう。
もしかすると若いファンは今季の村上の活躍によって、王の全盛期やバースの伝説的なシーズンの威力を実感することになるのかもしれない。そう考えると調子を落とさずに閉幕を迎えてほしいものである。
この後、遅かれ早かれ村上にはMLB挑戦の話題が出てくることだろう。日本プロ野球からMLBに挑戦する選手には、オファーが受け取れるようになった頃には年齢を重ね、全盛期を失している例も多い。
ところが村上の場合は若くして、同年齢時の王の実績をも上回り、全盛期に近づくシーズンを過ごしている。もし早い段階で移籍できれば、往年のファンが空想した「もしも王がMLBに挑戦していたら」を、村上を通して見ることができるかもしれない。25歳未満での移籍は当初メジャー契約の対象とならないなど障害はあるが、私としては1年でも早くMLBでの活躍を拝見したいものである。
DELTA・道作
(※1)データは8月3日現在
(※2)wRAA:リーグ平均レベル(0)の打者が同じ打席をこなした場合に比べ、その打者がどれだけチームの得点を増やしたかを推定する指標。優れた成績で多くの打席をこなすことで値は大きくなる。
DELTA(@Deltagraphs)http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)の運営、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート5』(水曜社刊)が4月6日に発売。