MLB移籍を目指す松田、厳しいレギュラー三塁手への道【小宮山悟の眼】
今年のアメリカのFA市場は投手の動きが例年以上に早かった。野手もこれから交渉が活発化する。松田宣浩に、米球団は本当に興味を示しているのだろうか。
2015/12/18
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日本人野手がMLBで生き延びる道は小技
スピードとパワー。
メジャーリーグと比較したときに、日本のプロ野球が劣っていると評価されるプレーの要素だ。現在のところ、投手よりも野手について、その傾向は顕著に表れている。つまり、そのスピードとパワーの源となるフィジカル面に違いがありすぎるのだ。身長180センチ、体重90キロがアベレージの世界と、身長190センチ、体重100キロがアベレージの世界の違いといえば分かりやすいか。
松田もその違いに苦戦すると思っている。
具体的に言えば、打撃においては、とにかくパワーが不足している。あの松井秀喜でさえ、日本球界で50本塁打を記録した直後に海を渡ったのに、本塁打数は半減した。松田が日本と同じスタイルの打撃を貫けるとは、到底思えない。
守備に関して、一般的なメジャーリーガーの三塁手と比較して劣っている点は、スローイングだ。捕球して体勢が崩れても、腕の力だけで一塁へ矢のような送球をできる能力。松田に限らず、ほとんどすべての日本人三塁手には真似のできないプレーだ。
では、肉体面で劣る日本人野手がメジャーの舞台でどう勝負すればいいのか。それは、米国や中南米出身選手たちが苦手とするきめの細やかなプレーをアピールするしかないだろう。
具体的に言えば、イチローや青木宣親のようなプレースタイルだ。野茂英雄がメジャーに移籍してから20年。何人もの日本人メジャーリーガーが誕生したが、この考えは常識化されつつあると言っても良い。
もちろん、見る側としては、そういう常識を打ち破るような日本人選手が現れてくれたらワクワクするし、期待したいとも思う。だが、松田が日本で披露してきたプレーは、残念ながら私に爆発を予感させてくれるレベルではなかった。
一方松田にイチローや青木のような、小技の能力や、ユーティリティーさがあるかといえば、その答えも否だ。
これらが、松田がメジャーで苦戦するだろうと予想する理由である。