先発の真の実力は? 今季打線の援護に恵まれた投手、恵まれなかった投手【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は援護点についてだ。
2015/12/19
味方打線の援護に恵まれた十亀
1位は西武の十亀。
自責点は60だったが、援護点は90もあった。十亀の防御率は3.55。今季パリーグのリーグ平均防御率は3.60。十亀の防御率は平凡な数字も、11勝7敗と4つ勝ち越した。
十亀は打線の援護で勝ち星を重ねたと言ってよいだろう。
15勝で大谷翔平と最多勝を分け合ったロッテの涌井の自責点はリーグ最多の70。しかし援護点も最多の101点。もちろん最多勝は、失点しても粘り強く投げ続けたことによるが、味方の援護点の大きさも見逃せない。
同じロッテの石川歩の援護率は3.98、涌井は4.82。1点近くの差があった。涌井より防御率が良い石川が12勝、涌井が15勝だった最大の要因は援護点と分析できる。
しかし超絶した実力があれば、援護点はあまり関係がない。大谷翔平の援護率は、下から2番目の3.92だが、防御率は2.24。少ない援護点でも、大谷は関係なく白星を重ねたのだ。
則本昂大は、防御率は3位の2.91で、援護率はそれを下回る2.54。1試合あたりの援護点は十亀の半分以下だった。
味方打線が弱かったこともあり、則本は好投してもなかなか白星がつかなかった。