パ最多勝投手の大谷翔平と涌井秀章。同じ「15勝」でも投球内容は好対照【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は今季パの最多勝に輝いた大谷と涌井についてだ。
2015/12/23
コンスタントに勝ち星を積み上げた大谷、終盤一気に勝ち星を積み上げた涌井
涌井はシーズン終盤、大車輪の活躍をした。
二人の今季の登板記録を日付で追いかける。
涌井は5月13日に5勝目を挙げてから1カ月以上白星がつかなかった。この間、大谷はすでに9勝目を挙げている。涌井はようやく6月27日に6勝目、この時点で最多勝に手が届くとは本人も思っていなかっただろう。
8月28日、11勝目を挙げてから涌井の快進撃が始まる。
以後の6登板で4勝をマーク。なかでも9月25日からの11日間で3勝。最終の10月6日は10回を投げぬいた。そして大谷翔平にぎりぎりで追いついた。
涌井の快進撃にあわせるかのように、ロッテは西武に最終コーナーで追いぬき、ポストシーズンに進出することができた。
来季への懸念材料は投球数だ。NPBでは3000球以上投げた投手は翌年、成績が落ちることが多い。
一方、日本ハムに復帰した吉井理人投手コーチは、来季、大谷には「200イニングを投げさせる」と目標を掲げた。そうなると田中将大以来の20勝も見えてこよう。
二人のエースの来季の活躍が楽しみだ。