松田、移籍断念の背景に「日米移籍市場の時差」も。厳しさ増す、日本人野手のMLB評価
ソフトバンクから海外FA権を行使していた松田宣浩が24日、残留を表明した。その要因の一つとして「日米移籍市場のスピードの差」が上げられる。
2015/12/26
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古巣に迷惑をかけられない
だが、ソフトバンクの事情を考えればそれでは遅い。キャンプ直前に正三塁手が抜ける痛手ははかりしれない。そこから穴を埋める助っ人や他球団の戦力を探そうにも、出遅れは否めない。
古巣にこれ以上迷惑はかけられない。そのリミットが「長引かせたくない。行くか、行かないかは年内に決める」と松田が話した期限だった。年内と区切った時点で、メジャー挑戦は消えたも同然とも言える。
これは松田だけの問題ではない。
近年不振が続く日本人内野手の米国での評価は高くなく、今後挑戦を志す選手もまずは「ユーティリティー選手」という評価を与えられるだろう。昨オフ、挑戦を表明した阪神・鳥谷敬もそうだった。
そうなると、必然的に決着は1月中旬以降。ここで所属元球団との摩擦が生じる。そこまでは待てない国内球団と、陣容がでそろうのはキャンプ直前が当たり前というメジャー球団の時差。頭から残留は考えず、「メジャー1本で」という固い決心がないと、その足かせからは逃れられない。
天然芝への対応や、逆シングル捕球が基本とされる守備技術の違いなど、日本人内野手を待ち受けるハンデはこれまで何度も語られてきた。そこに「日米移籍市場の時差」も一つ付け加えられるだろう。そう思わざるを得ない、松田のFA交渉劇だった。