12球団守備の通信簿。守備成績から見えてくる各球団の長所と弱点【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は12球団の守備成績についてだ。
2015/12/29
守備面ではロッテが優秀
野球の最高峰であるプロ野球のレベルになると、守備成績では大きな差はつかない。どのポジションでも打球の95%以上はアウトになる。
しかしながら、長いペナントレースでは残る数パーセントが勝敗を分けるケースが出てくる。また、守備範囲の違いが、勝率に響いてくることもある。
NPB12球団の各ポジションの守備成績を見ていこう(Baseball Referenceなどをもとに作成)。
まずはパリーグからだ。
RF(レンジファクター)は、守備機会を143試合で割ったもの。守備範囲の広さを示す。捕手のPBはパスボール。A/Gは1試合あたりの補殺(内野手の場合、補殺は主としてゴロアウト)。外野手は補殺数も載せた。
各ポジションの数字は失策・併殺は合計値でその他は平均値をとった。そのポジション内でのチーム最多出場選手(外野は上位3人)と起用人数を記す。投手は起用人数のみ。赤字はリーグのベスト、青字はリーグのワースト。
ソフトバンクは一塁、二塁ともに最多出場選手が明石になっている。2つのポジションは固定できなかった。来年、李大浩が移籍となれば内川の一塁コンバート案も浮上している。
一塁手は守備率、RFともに日本ハム。中田翔は、打撃だけでなく堅実な守備でも貢献していた。
オリックスの一塁手は最多の16失策。特に三塁からコンバートされた中島裕之が1人で6失策。苦戦していたことがわかる。
二塁手ではロッテのRFの優秀さが目立つ。特にクルーズはグラブさばきもよく守備範囲も広かった。来季は巨人でプレーするが、ロッテにとっては痛い。
三塁手を見ると、ソフトバンクの松田が1人でシーズンを守り通した。ロッテの三塁手も優秀だった。
遊撃手は、オリックスがA/GとRFで1位。139試合出場の安達了一の進化がわかる。
外野手、ロッテの安定感が際立つ。今季も守備率は1位。しかしRFは西武が1位だった。特に中堅を守る秋山翔吾がずば抜けた守備範囲を誇っていた。
捕手の守備成績は投手成績と関連する。奪三振が多いチームの捕手は守備機会が増える。ソフトバンクの捕手のRFが1位になっているのは、このためだ。パスボールは楽天が最多。
投手の守備を見ると、ロッテ投手陣の失策数の少なさがわかる。
涌井秀章は3度目のゴールデングラブ賞に輝いたが、石川歩も今季37回の守備機会で無失策。投手の好フィールディングで救われた試合もあったはずだ。