センター中島卓也の起用から考える、1年目の新庄野球【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#182】
新庄ビッグボス就任1年目がまもなく終わる。これまでにない采配や起用で大いに注目を集めたが、果たして2年目に向けて土台作りのシーズンになったのだろうか。
2022/09/17
シーズン終了前にしたファンの気持ち
秋風が吹いてきた。今週話題になったのは札幌ドーム敷地内に熊が出没か?、というニュースであった。3連休の「ファイターズ・クラシック」を目前に控え心配なことだ。当然のようにファイターズ・クラシックに引っかけて、「B☆Bじゃないの?」等のネタがSNSに投稿されたが、B☆Bは熊ではなくグリズリーだそうだ。まぁ、B☆Bなら人が襲われる危険性はないのだけど…。
ファイターズの試合にも秋風が吹いてきた。これから札幌ドーム卒業(?)のカウントダウンが始まるところだが、僕が今回書きたいのはそういう演出面の話ではなく、野球の中身のことだ。まぁ、それが消化試合だと言われたらそれまでなんだけど、新庄野球のテンションが落ちていると思う。
僕は今季、ファイターズを最下位予想していて、それでも土台作りのシーズンだからオッケーだと書いてきた。最終戦が終わったとき、ファンが「えー、もう終わりか、このチームをもっと見たいよー」と思ってくれたら成功だと考えてきた。で、9月中旬になって実際どうかというと、ファンはちょっとくたびれてると思う。負け試合を見過ぎた。スケジュール的には11月に侍ジャパン強化試合が組まれていて、ファイターズが東京ドームで野球をする(そして、たぶん僕は見に行く)のだが、今の感じだとみんなちょっとぐったりじゃないのかなと思う。
例えばここ最近の新ネタ「センター中島卓也」だ。これはどう考えたらいいだろう。断っておくが、僕は中島卓也のファンだ。シネコン等で映画を見るときは極力「F列9番」を指定することにしている。だから、推し選手が「変わり雛」みたいに普段と違うことやってて、ポジショニングに戸惑っていたりするのを見るのは大好物でもある。注目を浴びて見事なランニングキャッチを披露したりするのは嬉しいといえば嬉しい。何しろ今季はずっと2軍暮らしだったので、上で使ってくれるならセンターだって歓迎というところもある。
だけど、割り切れないものは残る。「常識を疑う新庄流」を是とするなら「センター中島卓也」はアリなんだろうが、彼ほどのキャリアの選手にこの上、何をチャレンジさせるのか。本人は公式のコメントでネガティブなことは言わないと思うが、本当に納得しているのか。
思い出すのはかつてトレードでやって来た守備の職人のエピソードだ。本当に巧い内野手だった。ファンの人気も上々で、チームの顔になりかけた頃だ。監督が(バッティングを重視して)本来、捕手であったはずの選手を彼のポジションで起用した。その年、キャンプでも一切、守備練習していないポジションだった。彼は誇り高い男だから監督批判もチーム批判もしない。ただオフにFAで出ていった。
これは誰が悪いというのじゃなく、そういうプライドを持った選手もいるという話だ。まぁ、すべての選手をユーティリティプレーヤーとして試している新庄ファイターズとは時代が違うのだけど。