藤浪と大谷、入団3年でNPBを代表する投手へ。決定的な違いは投球の効率と守備【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は3年目を終えた藤浪と大谷についてだ。
2016/01/06
驚異的な被打率の大谷
被打率は藤浪、大谷とも年々低くなった。特に大谷は被打率.180。これは2011年、球史に残る空前の投球を見せたチームの先輩、ダルビッシュ有の.189さえも下回る驚異的な数字だ。
ちなみに2015年のMLBの先発投手の被打率はアリーグがブルージェイズのエストラーダの.203、ナリーグがカブスのアリエッタの.185だった。
これを見ても大谷の数字が驚異的な数字だということがわかるだろう。
左右打者別にみると、今季、大谷は左打者の被打率も.207と大幅に下落している。藤浪も前年まで苦手だった左打者の被打率が改善されているが、大谷は次元が違うと言って良いだろう。
藤浪晋太郎の投球数、1回当平均投球数が多いのは、制球力に難があるからだ。与四球数はついにリーグ最多になった。BB9も悪化している。
大谷のBB9が毎年1ずつ向上しているのと対照的に、藤浪の制球力は進化していない。死球数も2年連続で最多になった。
藤浪はSO/BBも優秀とされる3以上には手が届かない。藤浪にとって制球力は大きな課題だ。
失点と自責点の差異に注目してほしい。大谷は、失点と自責点の差がトータルでも16。藤浪は38。2015年は17もあった。
2015年のスコアを見ていくと、4/25広島戦(●失点6、自責点3)、6/3ロッテ戦(勝敗つかず
失点6、自責点0)のように、失策をきっかけとして大量失点することが散見される。
野手の失策が多いのは投手の投球リズムが悪いからだともいわれるが、以後崩れるのは、藤浪自身のメンタルの問題もあるだろう。エースとしては克服すべき課題だ。