大投手を超えた大谷翔平。投球回数少も驚異的な奪三振率
江夏豊の400奪三振など、過去の奪三振数記録は今後更新が不可能だろう。しかし奪三振率を見ると、投手の進化ぶりがうかがえる。
2016/01/07
奪三振率では平成の投手がズラリ
しかし別の切り口から見ると、全く違った一面が見えてくる。奪三振率という視点だ。SO9ともいわれ、1完投あたりの奪三振数を示す。
この数字のシーズン記録には、上記のランキングとは全く違う顔ぶれが並ぶ。
規定投球回数以上だ。
1. 石井一久(ヤクルト)1998年 奪三振率11.05 241奪三振 196.1回
2. 野茂英雄(近鉄)1990年 奪三振率10.99 287奪三振 235回
3. 大谷翔平(日本ハム)2015年 奪三振率10.98 196奪三振 160.2回
4. 江夏 豊(阪神)1968年 奪三振率10.97 401奪三振 329回
5. 杉内俊哉(ソフトバンク)2010年 奪三振率10.74 218奪三振 182.2回
6. ダルビッシュ有(日本ハム)2011年 奪三振率10.71 276奪三振 232回
7. 野茂英雄(近鉄)1991年 奪三振率10.66 287奪三振 242.1回
8. 伊良部秀輝(ロッテ)1995年 奪三振率10.60 239奪三振 203回
9. 伊良部秀輝(ロッテ)1994年 奪三振率10.374 239奪三振 207.1回
10. 大谷翔平(日本ハム)2014年 奪三振率10.371 179奪三振 155.1回
なんと平成以降の投手が一挙にランクインした。かつては投球回数を上回る奪三振を記録する投手はまれだった。
近年の投手は、投球回数は少ないが、奪三振率は飛躍的に上がっている。
速球の球速が増したこともあるが、フォーク(スプリット)、スライダーなど空振りを奪うことができる変化球が発達したのが大きいと言われる。
1位の石井は、途中までは速球と見分けがつかない角度のあるスライダーが売りだった。
奪三振率が高い投手は、MLBでも高く評価される。このランクに入った投手7人のうち、4人がMLBでも活躍している。
平成の投手が並ぶ中、ただ一人1968年に401奪三振のNPB記録を作った江夏豊が入っているのは壮観だ。彼の記録はとびぬけていたことがわかる。
現役投手は、杉内俊哉と大谷翔平。
大谷は昨年、NPB記録に0.07ポイントまで迫る奪三振率10.98を記録した。楽天の則本昂大に奪三振王のタイトルを奪われたが、奪三振率では球史に残る記録を打ち立てていたのだ。
大谷はまだ今季22歳、石井一久の記録を抜く可能性は大いにある。
なお昨年のセの奪三振王、藤浪晋太郎の奪三振率は9.95(歴代17位)で、前出の則本昂大の奪三振率は9.94(歴代20位)。いずれも素晴らしい記録だ。