伊藤の配置転換よりもやはり石川直! 来季の抑えは誰に任せるのか【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#184】
来年は優勝を目指すと断言した新庄監督。勝利を積み上げる上で抑えの確立は必要不可欠だ。今シーズン最終盤には先発だった伊藤の抑え適性を試したが、やはり石川直に期待したい。
2022/10/16
抑えの資質はあるが、内容は不安定
今回の原稿はだいぶ私情が入っている。石川直也はどうなるのかなぁと案じている。ファイターズファンのなかで、僕のように直(ちょく。石川の愛称)を心配している人はどれくらいいるのだろう。シーズン中、SNS等を見るとなかなか厳しい意見が多くて、見るのがつらくて、遠ざける感じになっていた。
石川直は抑え候補だ。栗山英樹監督がクローザーとして起用し、最初のうちこそ打たれてベンチで泣いたこともあったが、めきめきと頭角を現していった。長身から投げおろす速球とフォークに威力がある。自信がついてきて、本人も「セーブ王のタイトルを狙う」とマスコミに語るようになり、こりゃいい傾向だぞと思ってたら、右ひじを痛め、トミー・ジョン手術を受けることになる。今年は手術明け、やっと戦列に戻ったシーズンだった。
だから石川直はまだフルシーズン、抑えで稼働した実績がない。任せてみるが何となく不安定で、配置転換してみたり、また抑えに戻してみたり、全幅の信頼を勝ち得たことがない。今年はシーズン途中から復帰して、セットアッパーからスタートして、一時期抑えもやったけど成功したとは言い難い。
勝ち試合をぶち壊したときのSNSの荒れようが本当につらいのだ。胸が苦しくなる。石川直はトミー・ジョン明けで、真価が問われるのは来季になると思うのだが、あんまりそうは考えてもらえないようだ。ピッチャー稼業は大変だなぁとつくづく思う。森本稀哲の現役時代、彼のお母さんがいつも言ってたものだ。「野手でホントによかった。打てなくても次があるもん。次があるって助かる。ピッチャーの親はつらいよー。一球のミスが命取りだもん」
石川直は投球のパターンが決まってるタイプだ。まっすぐ、フォーク。基本的にはこれでガンガン押していく。球種が少ないのはよくないかというと、そういうわけでもなくて、例えば野茂英雄や佐々木主浩のように威圧感が生じたりもする。球種が多いと絶対感が生まれにくいきらいがある。まぁ、やっぱり前提になるのは球威だろう。石川直も身体が疲れているときは投球が苦しい。
あと遊びがないのだ。ピッチングが生真面目。不器用という言い方もできるかもしれない。リリーフに失敗するときはスコア上はリードしていても、追い詰められてるような心理に陥って、ガラガラと大崩れする。見ている側としてはイヤな予感が当たってしまう投手だ。たとえ表情を変えなくても、追い詰められてるときは追い詰められてるとわかる。もっとふてぶてしい性格ならいいんだけどなぁと思うが、真っ正直な石川直だから応援しているとも言える。