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【ドラ1の知られざる苦悩】巨人・元木大介(1)野球人生を決めた、父との約束

2022/10/14

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産経新聞社



「ここで打ったら格好いいなって思うと鳥肌が立ってきた」

 上宮は大阪市天王寺区上之宮町にある1890年創立の私立学校である。野球部は1980年の春の選抜に初出場。このときは1回戦負けしている。翌年の同じ春の選抜でベスト4。83年、86年の春にも甲子園に出場している。
 
 元木にとって初めての甲子園は高校1年夏のことだった。
 
 試合前、甲子園練習で脚を踏み入れたとき、元木は思わず声を出しそうになった。
 
「うわーっ、甲子園だって。観客がいなくてがらがらなんだけど、迫ってくる感じがあった。圧倒された気持ちは未だに忘れない」
 
 元木は小学生のとき、阪神タイガースの試合を観るために甲子園に行ったことがあった。マイク・ラインバック、ハル・ブリーデンという外国人選手がホームランを打たないかと外野席のレフトポールの近くでグローブを持って待ち構えていた。しかし、ホームランボールは飛んでくることなく、残念な思いで家に帰った。そこに自分が立っていることが感慨深かった。
 

 
 高校2年の春の選抜、初戦の相手は徳島県代表の小松島西だった。
 
 元木は甲子園の雰囲気を楽しむ余裕があった。
 
「大阪って地元だから、お客さんが一杯入ってくれる。俺、ここで打ったら格好いいなって思うと鳥肌が立ってきた」
 
 上宮は小松島西を5対0、その後、高知商業を7対3で破り、準々決勝で栃木県の宇都宮学園と対戦した。
 
 4回、元木は宇都宮学園の右腕、影山崇から先制本塁打を打った。
 
 元木によると、これは高校生で初めての本塁打だったという。
 
「練習試合、予選含めて、1本も打ったことはない。紅白戦でも打ったことがないもん。飛ばせるって思ったことない。上宮でも種田(仁)も飛ぶし、他にも飛ぶ奴はいたから」
 
 上宮は元木の本塁打を含めて5回までに5点を先行した。しかし、その後追いつかれ、延長12回、7対8で敗れた。

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