【ドラ1の知られざる苦悩】巨人・元木大介(3)一軍に生き残るための「スタイル変換」
2022/10/14
産経新聞社
地元の野球チームに入ることに
当初はハワイ大学の野球部の練習に参加する予定になっていた。しかし元木は大学に入学するつもりはなく、選手としての登録が出来ない。
「結局、関係ない奴を使う必要はないんですよ。だから練習だけ。試合は1回も出してくれなかったから、俺、それだったらやんなくていいよって」
その後、地元の野球チームに入ることになった。
「20歳後半から30代の人が集まっていたチーム。英語は喋れないけど、みんな優しくしてくれた。草野球のおっさんたちだけれど一生懸命やっている人だった。最初はショートをやっていたんだけれど、レベルが低い。これじゃ駄目だなと思って、肩が弱くならないようにピッチャーをやるようになった」
そんな環境で自分の能力が錆び付いていくことが怖くなかったかと、ぼくが言うと元木は首を振った。
「最初はそんなこと考える余裕なかったもん。人のいないところで野球が出来るだけで幸せだった」
そして11月24日、元木は2度目のドラフト会議で読売ジャイアンツから1位指名された。
「まあ、嬉しかったね。あー入れるんだって思って。本当にほっとした。もうこの生活をしなくていいんだ、堂々と出来るんだって」
しかし、試練は終わっていなかった――。