個性派揃いの楽天新外国人。体重より心配、アマダーの打撃は通用するか
今季、楽天は梨田昌孝新監督の下、3年ぶりのAクラスを目指す。チームの再建、浮上のバトンを託された新外国人選手は、135キロの巨漢のジャフェット・アマダーを筆頭にいずれも特徴のある面々だ。
2016/01/10
アマダーは日本で実績を残せるか
そして、話題のアマダーである。
クリスマスイヴの日に正式契約の知らせが届き、ファンには聖夜の贈り物となった。プレゼントはビッグサイズだった。135kgの巨漢は、広島のエルドレッド(122kg)、ソフトバンクの李大浩(130kg)を抜き、NPB史上最重量を更新。MLBの出場歴はないものの主にメキシコでプレー、昨年の打率/出塁率/長打率は.346/.436/.742、OPSは1.177、41本塁打、117打点。圧巻の成績で二冠王に輝いている。「チームが求めていた長打力を期待できる選手です」と安部井チーム統括本部長。4番の最有力候補としての槍働きが期待されている。
ただ、心配材料も多い。
昨年の成績が打高投低で有名なメキシカンリーグでの実績という点だ。中でもアマダーが在籍したチームの本拠地は標高2,000mをゆうにこえる高地にあり、非常に打球が飛びやすい。このことは数値にも表れており、ホームゲームOPS1.290だったところ、ビジターゲームでは約2割低く1.068だった。
アマダーは2013年~2014年の一時期にメキシコの山を下り、米オクラホマのアストロズ傘下の3Aで74打席プレーした。その時は.268/.284/.296。OPSは6割に届かず長打は二塁打2本。特に2014年のGO/AOは1.83とゴロアウトが多く、明暗分かれる結果になった。
次にメキシカンリーグでプレーした楽天の過去の外国人打者と比較してみたい。
2012年のルイス・テレーロの例だ。イーグルスでは速球に弱く、特にスピードボールを苦手とし、121打席で打率/OPSは.153/.413と低迷した。ホームランも僅かに1本。打棒振るわずオフに解雇された。
翌2013年、33歳になったテレーロはメキシカンリーグでアマダーと同じユニフォームに袖を通した。319打席での打率/OPSは.388/1.209の好成績、ホームランは27本、11.81打席に1本のペースで量産した。当時26歳だったアマダーも負けじと449打席で.368/1.111、36本塁打の成績を残している。1本あたり12.47打席の頻度で一発を放った。つまり、仙台で活躍できなかったテレーロと、今年楽天にやってくるアマダーは、2013年の同一条件下でほぼ同じ成績だったというわけだ。
一抹の不安が残るが、NPBに新たにやって来る外国人に不安材料はデフォルト設定である。周囲の助けが必要だ。秘めた能力を持つ規格外の右打者の力を、池山・礒部の両1軍打撃コーチがどのようにカスタマイズして導いていくのか、その手腕にかかっている。
順応できれば、2007年の山﨑武司以来、球団2人目のホームラン王が杜の都から誕生、3年ぶりのクライマックスシリーズ進出も現実味を帯びてくるはずだ。