【ドラ1の知られざる苦悩】元ロッテ・前田幸長(1)最大の武器は遊びから生まれた
2022/10/15
産経新聞社
投手として育てられた
今も前田幸長の記憶にはっきりと残っているのは、幼稚園の頃、団地のそばにある空き地で父親とキャッチボールをした光景だ。
大学職員として働いていた前田の父親、助司は、ほぼ毎日、決まった時間に帰宅。ボールとグローブをとって二人でボールを投げ合ったのだ。
前田が不思議に思うことが二つある。前田には3つ年上の兄がいる。父親が兄がキャッチボールをしていたという記憶はない。なぜ自分だけだったのか。
そして、もう一つは、父親は最初から腰を下ろして、キャッチャーとして自分のボールを受けたことだ。前田は幼稚園のときから、投手として育てられたのだ。
「最初から左投げでした。(地元のスポーツ)少年団に入れるのが小学校3年生からでした。それまでは親父とひたすらキャッチボールをしていたんでしょうね」