【ドラ1の知られざる苦悩】元ロッテ・前田幸長(1)最大の武器は遊びから生まれた
2022/10/15
産経新聞社
独特のカーブが大きな武器に
加えて、前田にはカーブがあった。
「小学生のときから、こっそりカーブを投げてました。試合では投げられないので練習のときだけ。誰かに習ったというのではなく、キャッチボールのとき、遊びで投げ始めた感じですね。なんか遊んでいるうちに自然にできていた。それが良かったんでしょうね」
前田のカーブは独特である。
腕を思い切り振り、手の甲を打者側に向けるようなイメージで球を離すという。関節が柔軟でなければ投げられない。後にロッテオリオンズで同僚となった伊良部秀輝は、前田からカーブの投げ方を教わったが、自分にはできないと諦めた。
「普通のカーブは斜めに落ちますよね。ぼくのカーブは縦回転で落ちる」
この縦に落ちるカーブが前田の最大の武器となった。
高校3年生が引退した後、前田は練習試合に先発する機会を与えられた。相手は、前田が進学を希望していた福大大濠だった。
「不思議な縁ですよね。そこでぼくは完封したんです。そこから(扱いが)変わりました」
高校2年生の秋まで前田のストレートは130キロ代半ば。それほど速くはなかったが、面白いようにカーブで空振りを取ることができた。
「ぼく、高校時代、カーブをビタっと打たれた記憶はないです」
そんな前田の名前が全国の野球関係者に広く知られるようになったのは、高校3年生春のことだった。
(2)につづく
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CASE2 多田野数人(07年大学生・社会人ドラフト1巡目 北海道日本ハムファイターズ)
CASE3 的場寛一(99年ドラフト1位 阪神タイガース)
CASE4 古木克明 (98年ドラフト1位 横浜ベイスターズ)
CASE5 大越基(92年ドラフト1位 福岡ダイエーホークス)
CASE6 元木大介(90年ドラフト1位 読売ジャイアンツ)
CASE7 前田幸長(88年ドラフト1位 ロッテオリオンズ)
CASE8 荒木大輔 (82年ドラフト1位 ヤクルトスワローズ)