【ドラ1の知られざる苦悩】元ロッテ・前田幸長(3)ドラフト前に「大学進学」を口にした理由
2022/10/15
産経新聞社
地元福岡の熱狂に「悪い気はしなかったですよ」
優勝こそできなかったが、この甲子園により前田の人生は大きく変わることになった。
まず戸惑ったのは、地元、福岡の熱狂だった。
「甲子園が終わった翌日、新幹線で帰りますよね。そうすると小倉駅からぼくらの車両に人がいっぱい乗ってくるんです。それでカシャカシャ写真を撮られる。小倉の次が博多駅。着いたら、ホームから凄いんですよ。後からテレビで聞いたのは、博多駅に3000人が待ち構えていたとか。駅で準優勝の報告会みたいなものをやりますって告知していたんです。しかし、危ないから中止になった」
前田が新幹線を降りようとすると「ちょっと待ってくれ」と係員から声をかけられた。前田は細身の左腕として、人気選手となっていた。前田は係員に守られるようにホームに下りた。
前田は「悪い気はしなかったですよ」と悪戯っぽく笑った。
「色んな声が聞こえるんですよ。前田くーんとかね。駅からバスに乗って学校までプチパレードでした。だいたい15分とか20分ぐらいですかね。テレビ局がヘリコプターを出して、中継していましたね」