【ドラ1の知られざる苦悩】元ロッテ・前田幸長(3)ドラフト前に「大学進学」を口にした理由
2022/10/15
産経新聞社
試験時間中、腕組みをしたまま座っていた
そして前田は「自分は進学する」「プロには行かない」と口にするようになった。
大学進学という体裁を取り繕うため、前田は関西の私立大学のセレクションを受けている。
しかし――。
「ぼくは練習を見るだけのつもりだったんです。行く気はさらさらないですから。カモフラージュです。ぼくと同じような選手が4、5人いました。そうしたら何か知らないんですけれど、ペーパーテストが始まったんです。全く聞いていなかった。1時間目は英語です。いちおう名前は書きました。やろうという気がなかったわけではないんですが、全く理解できない」
前田はむっとした表情を作って試験時間中、腕組みをしたまま座っていたという。そして1時間目が終わると、前田は教室を出て、駅に向かった。
「落ちたと思うじゃないですか? そうしたら、もう1回来いという連絡が入ったんです。俺はもういい、行かないと返事しました」
そして、前田はドラフトの日を迎えることになる――。
(4)につづく
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CASE1 辻内崇伸(05年高校生ドラフト1巡目 読売ジャイアンツ)
CASE2 多田野数人(07年大学生・社会人ドラフト1巡目 北海道日本ハムファイターズ)
CASE3 的場寛一(99年ドラフト1位 阪神タイガース)
CASE4 古木克明 (98年ドラフト1位 横浜ベイスターズ)
CASE5 大越基(92年ドラフト1位 福岡ダイエーホークス)
CASE6 元木大介(90年ドラフト1位 読売ジャイアンツ)
CASE7 前田幸長(88年ドラフト1位 ロッテオリオンズ)
CASE8 荒木大輔 (82年ドラフト1位 ヤクルトスワローズ)