【ドラ1の知られざる苦悩】元横浜・古木克明(1)ホームランの基礎を作った建築士の父
2022/10/16
産経新聞社
隠し球に象徴される古木らしさ
豊田大谷は続く2回戦で山梨県代表の甲府工業と対戦している。
1回表、甲府工業が2点を先制。その裏、三番に座っていた古木が二死から二塁打を打っている。試合の流れを考えれば、豊田大谷はここで1点返したい場面だった。
四番打者がバッターボックスに入ったのを見て古木は二塁ベースから離れた。すると甲府工業の二塁手がすっと近づき、グラブで古木の躯に触れた。その瞬間、塁審が「アウト」と叫んで手を挙げた。隠し球である。
試合後、古木は「小さいころからボールから目を離すなと言われていた。相手がうまいとはいえ、自分は実行できなかった」と報道陣に後悔の言葉を語っている。
豊田大谷は1回の拙攻もあり、試合の流れを最後まで掴むことができず2対4で敗れた。
長距離打者としての類い稀な才能と、どこかすっぽりと欠けた部分。その後の古木を象徴するかのような試合だった。
(2)につづく
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CASE2 多田野数人(07年大学生・社会人ドラフト1巡目 北海道日本ハムファイターズ)
CASE3 的場寛一(99年ドラフト1位 阪神タイガース)
CASE4 古木克明 (98年ドラフト1位 横浜ベイスターズ)
CASE5 大越基(92年ドラフト1位 福岡ダイエーホークス)
CASE6 元木大介(90年ドラフト1位 読売ジャイアンツ)
CASE7 前田幸長(88年ドラフト1位 ロッテオリオンズ)
CASE8 荒木大輔 (82年ドラフト1位 ヤクルトスワローズ)