【ドラ1の知られざる苦悩】元横浜・古木克明(3)下位常連チームの悲劇…一貫しなかった育成方針
2022/10/16
産経新聞社
不安視されていた守備
古木克明は横浜ベイスターズ入団1年目、オリックス・ブルーウェーブとの練習試合で三塁を守ったときのことをよく覚えている。
「(ハービー)プリアムっていう選手だったかな、黒人のでかい右打ちの選手が立ったとき、すごく威圧感があった。サードって右打者からだと距離が近い。打球が速くて、どうやって捕ればいいんだって思ってました」
高校時代から古木の守備は不安視されていた。
「高校のときはサードで、練習はほぼしていなかったです。2年生か3年生か忘れましたが、守備でやらかす回数が多かったので、至近距離からちっちゃいグローブでノックを打つという練習をやらされました。そのときは俺はキャッチャーじゃねえって、頭に血が上ったんです。グローブからボールがバンバン出ていくので、素手でパシーンって捕ったり。練習っていうのは、目的を理解せずただやっているだけでは駄目なんですよ」
プロに入ってくる選手、特にドラフト1位として指名されるような選手は突出した何かを持っているものだ。練習はもちろんだが、実戦で経験を積ませて、長所を伸ばして短所を消していく。古木の場合はまず守備の不安を消すことだったろう。
育成はチームの中長期的な視野とも密接な関係がある。どのポジション、どのような打者として育てるかという像を一軍、二軍の指導者が共有することが望ましい。
古木にとって不幸だったのは、ベイスターズはそのようなチームではなかったことだ。