【ドラ1の知られざる苦悩】元阪神・的場寛一(1)中日が好条件も憧れのタイガースへ
2022/10/16
産経新聞社
成長の歯車が噛み合った瞬間
「どこでバチッと歯車が合うかは分からない。人の成長はちょっとした一言や、出会いで変わってしまうんです」
的場寛一は自分に言い聞かせるような口調で言った。
的場は77年、兵庫県尼崎市で生まれた。小学生からボーイズリーグの『兵庫尼崎』で野球を始めている。ボーイズリーグは小、中学生を対象とした硬式野球リーグである。その後、愛知県の弥富高校、九州共立大学に進んだ。
そして、1999年のドラフト会議で阪神タイガース1位で入団。
「小学生のときは、そこそこ(野球が)出来ていたから、(将来は)プロ行けるんちゃうかなって思っていました。でも中学校に行くと、周りは大きいのばっかり。中学校の途中から大きくなっておいついた感じですかね。高校は普通の選手でした。ぼくが伸びたのは大学ですね。練習メニューは自主性に任せていて、短所を直すというより長所を伸ばすというチームだったんですよ」