【ドラ1の知られざる苦悩】元阪神・的場寛一(2)少し鬱病みたいに…プロ入りして気づいたメディアの恐ろしさ
2022/10/16
産経新聞社
春季キャンプで気が付いた距離感
2月、春のキャンプが始まると的場は自分に対する先輩選手たちの対応がよそよそしいことに気がついた。
「ファン感謝デーのとき、ぼくについての質問があったらしいんですけれど、〝大卒と言っても所詮アマチュアやから1年目は苦労すると思う〟っていうコメントばっかりなんです。俺、なんか悪いことしたかなぁと思ってました」
端正な顔立ちをした的場は、監督の野村克也から「ジャニーズ系」と称されていた。地元尼崎出身、見栄えのいい的場は、関西のメディアにとっては恰好の取材対象になっていた。
「関西と九州って温度差があるんです。関西のスポーツ紙にはぼくの記事が一杯出ていたらしいんですけど、(大学生活を過ごしている)九州では出ない。甲子園で志願の自主トレしたりとか、生意気な奴が入って来たと思われていたんです。先輩たちに挨拶したら、どうも風当たりが強い。そこで気がついたんです」
以降、的場は報道陣と距離を置くようになった。
「何かを質問されても、そうですねと同意しない。一旦否定して、自分の言葉で言い直さないといけないことを学びました」