【ドラ1の知られざる苦悩】元阪神・的場寛一(2)少し鬱病みたいに…プロ入りして気づいたメディアの恐ろしさ
2022/10/16
産経新聞社
「すごい感じの悪い選手やったと思いますよ、当時」
また、プロの練習の厳しさは想像以上だった。
「当時、暗黒時代の阪神だったじゃないですか? なめていたところがありました。大学ではショートのポジションに五、六人いますから、なかなか練習は回ってこない。プロは一対一」
キャンプ初日から周囲の選手との違いをまざまざと見せつけられた。
「プロの選手は派手さはないんですけれど、確実にボールを獲る。アマチュアはイレギュラーしたボールはなんとか獲れたとしても、送球がずれる。プロはちょっとイレギュラーしても何気なく捕球して、普通に投げる。難しいことを当たり前のように出来るのがプロ」
的場は「大学時代、さぼっていたつけが回ってきました」と苦笑いする。
「バッティング練習のときに脇腹を肉離れしました。やっぱりオーバーワークで飛ばしすぎたんでしょうね。平田(勝男)コーチは身体に異変があれば言ってこいよと気を遣ってもらいました。しかし、なかなか新人で痛いと言い出すことはできない。また、当時は新人はマッサージを受けることが出来なかった。身体に疲労が溜まるので、自分でマッサージ屋さんを探して通ってました」
プロ1年目の2000年シーズン、4月11日の読売ジャイアンツ戦で一軍デビューを飾った。5月24日の中日ドラゴンズ戦では初ヒットを記録している。
ドラフト1位入団選手として追いかけられるプレッシャーは、的場を精神的に追い込んでいた。
「自分が喋ったことと違うことを書かれると、傷つくんですよ。今から考えると少し鬱病みたいになっていましたね。寮に住んでいたんですけれど、みんなと顔を合わせたくないから、朝早くとか夜遅くとか、人がいないときに風呂に入ったりとか。誰とも会いたくなかった。(球場や練習場でも)まずマスコミがいるかどうか見る。そしておらへんなと思ったら、ばーっと帰る。すごい感じの悪い選手やったと思いますよ、当時」
(3)につづく
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CASE1 辻内崇伸(05年高校生ドラフト1巡目 読売ジャイアンツ)
CASE2 多田野数人(07年大学生・社会人ドラフト1巡目 北海道日本ハムファイターズ)
CASE3 的場寛一(99年ドラフト1位 阪神タイガース)
CASE4 古木克明 (98年ドラフト1位 横浜ベイスターズ)
CASE5 大越基(92年ドラフト1位 福岡ダイエーホークス)
CASE6 元木大介(90年ドラフト1位 読売ジャイアンツ)
CASE7 前田幸長(88年ドラフト1位 ロッテオリオンズ)
CASE8 荒木大輔 (82年ドラフト1位 ヤクルトスワローズ)