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【ドラ1の知られざる苦悩】日本ハム多田野数人(2)苦肉の策?超スローボールの誕生

2022/10/17

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産経新聞社



インディアンスが評価した理由

「インディアンスはすごくフェアに扱ってくれたんです。体もできていないだろうから、1週間はまずマイナーのキャンプに参加。それで1週間経った後、同じようにバッターと対戦して判断すると」
 
 その1週間、多田野はキャッチボールから始め、ブルペンで次第に調子を上げていった。とにかく肩をいい状態に持っていくこと、自分の良さを出すことだけを考えていた。
 
 多田野の長所の一つは、自己分析の能力の高さである。ブルペンで投げていて、多田野は自分はここでは平凡な投手であると痛感していた。速球は140キロ後半、球種はストレートとスライダーしかない。自分がアメリカで残るには何か、突出するものが必要だった。
 

 
 そんなとき、メジャーの選手は縦の変化に弱いという、どこかで目にした言葉が頭に浮かんだ。
 
「これが最後のチャンスだと覚悟していました。何かしなきゃいけないと思って、(テストで)自分の球種になかったフォークを投げてみたんです。(フォークの)投げ方は教わったことはないです。挟んで投げたら、勝手に落ちてくれた。後から担当してくれた人から〝お前はフォークがいいから獲った〟と教えてもらいました。本当に、何が起こるか分かりませんね」

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