【ドラ1の知られざる苦悩】日本ハム多田野数人(2)苦肉の策?超スローボールの誕生
2022/10/17
産経新聞社
朝昼晩、3食ハンバーガーチェーンという日も
多田野はインディアンスとマイナー契約を結び、傘下の1A、ノースキャロライナ州のキンストン・インディアンスから始めることになった。
「キンストンは、自分以外日本人は絶対にいないという、すごく小さな街でした。向こうの選手って本当に良くしてくれるんです。車がなかったのでいつも誰かに乗せていってもらいました」
野球道具を持って、他の選手たちと一緒にピックアップトラックの荷台に揺られて球場に向かった。雲一つない青空が眩しかった。1Aは文字通り、ハンバーガーリーグだった。試合が終わると、店が開いているのはハンバーガーショップしかなかった。朝昼晩、3食ハンバーガーチェーンという日もあった。
約1カ月で2Aのオハイオ州のアクロン・アエロスに昇格した。
「そのときはメジャーなんか考えたことはなかったです。野球をやる場所はここしかない。とにかくこのチームで結果を残したいという気持ちだけでしたね」