【ドラ1の知られざる苦悩】元ダイエー大越基(1)仙台育英との運命的な出会い
2022/10/17
産経新聞社
「来たければ来れば、という感じでした」
ただ、両親は自分の息子が名門野球部で通用するとは考えていなかった。野球部の厳しい練習を見せれば、諦めるだろうと父親は考えていたのだ。
「憧れの東北高校のグラウンドに入ったときは感激しました。書類を出されて、名前、中学校とポジションを書いてくれと言われました。それで終わり。来たければ来れば、という感じでした」
わざわざ八戸市から連絡を入れて来たのだ。どのような選手なのか、得意な球は何なのか、色々と聞かれるだろうという心づもりをしていた。しかし、東北高校のような名門校の野球部では期待される選手ではないのだと冷や水を浴びせられたような気分だった。
「東北高校で色々と時間が掛かるだろうと計算して親父は帰りの新幹線を取っていたんです。すぐに終わってしまったので、むっちゃ時間があった」
父親は思いついたように「仙台育英に行ってみるか」と言った。
「仙台育英?」
その言葉を聞いて大越は思わず顔をしかめた。