【ドラ1の知られざる苦悩】元ダイエー大越基(4)想定外の1位指名に「まずいことになったと」
2022/10/17
産経新聞社
投手としての欠陥
しばらくしてフロリダに迎えに来たハイディは大越に対する高評価に驚いたという。そして、この情報を球団に伝えた――。
大越はこの年、92年のドラフト会議でダイエーホークスから1位指名された。
「指名されるという話は聞いてました。ただ下位指名だと。1位指名だと分かったとき、まずいことになったと慌てました。アメリカに行ったのはドラフトに掛かるためではなかった。そして躯はまだ高校の時のレベルにも戻っていなかったですから」
大越には投手として致命的な欠陥があった。
「ぼくは指先が不器用で、変化球がなかなか覚えられない。変化球だけではなく、ストライクゾーンの〝出し入れ〟ができない。日本のプロ野球はアメリカと比べてストライクゾーンが狭い。アウトコースぎりぎりの真っ直ぐ、あるいはインコースの際どい球を投げても、プロの打者はファールにする。投げる球がなくなってくるんです」
大越はドラフト1位投手という評価に応えようと必死で変化球を覚えた。すると今度はストレートの速度が落ちていた。