ドジャースは2年間の休養を想定も。8年契約の前田、年間200イニングが成功ライン【小宮山悟の眼】
前田健太が念願のメジャー移籍を果たした。出来高重視、8年という異例づくしの契約内容だが決して前田にとって不利なものではない。
2016/01/26
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今後、出来高重視の契約が基本路線に
そして私は今後、前田が結んだような出来高重視の契約が主流になってくると予想する。近年、トップメジャーリーガーの年俸は高騰の一途を辿っていて、いくつも巨額契約が誕生している。もちろん、金額に見合った活躍をしてくれれば問題ないが、必ずしもそうなるとは限らない。このままでは、球団側のリスク負担は増すばかりだ。特に、投手に関してはかなりの確率で肘の靭帯の損傷が起こることがわかってきている。だからこそ、「働いた分だけ給料を払う」というシステムがメインになってくるのではないだろうか。
メジャーリーガーには強力なエージェントがついているので、もちろん、一気にその流れが加速することはないかもしれない。ただ少なくとも、日本からメジャーへ移籍する選手……特に投手に関しては、メジャー球団側からそういう契約の提示があるようになっていくだろう。
さて、果たして前田はメジャーの舞台で成功するのか。日本球界のトップクラスの投手がメジャーで通用することは、すでに多くの選手が実証済み。彼も間違いなく、最低限の活躍はできるだろう。成功するかどうかで判断するなら、ローテーションの一角として、シーズン200イニングを投げられるかどうかが、そのラインになると思う。
万が一にも、オープン戦の段階で先発失格の烙印を押されたら、絶対にクリアできない数字だ。スタートで躓き見限られれば、後のキャリアにも大きく影響する。当然、その場合は8年の長期契約もネックになる。
カギを握るのは、今季から監督に就任するデーブ・ロバーツ。ただ、あくまでも勝手な想像だが、日米ハーフの新監督なら、前田の信条を忖度してくれるのではないか。そう楽観的に捉えている。
以前にこの連載でも触れたように、前田にはメジャーで成功する能力が十分にある。ドジャース背番号18が、その能力を期待通りに発揮してくれるか。今季はその点に注目していきたい。
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小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。