ローテーションは5人で回す? 工藤公康新監督の投手起用
11月1日、福岡ソフトバンクホークスの監督に工藤公康氏が就任した。これまで当編集部は工藤公康氏の著書を3冊制作している。監督就任にあたり、過去の話から工藤監督がどういう野球のミカタの持ち主であるかを紹介したい。当然、チーム事情によって必ずしもこの内容と一致するとは限らないが、工藤監督の野球論は垣間見えてくる。『野球のプレーに「偶然」はない―テレビ中継・球場で野球を楽しむ29の視点』(カンゼン刊)P180-185より
2014/11/01
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ピッチャー交代のタイミング
毎試合、ベンチの思惑通りの継投で勝利を簡単につかめるほど、野球は甘くない。あまりにも勝利の方程式に監督がこだわりすぎて、好投を続けていた先発を代えてしまい、逆転負けを喫するケースもある。
型にはめすぎず、交代の基準を明確にする必要がある。
ピッチャーは、はじめは低めに決まっていたスライダーが高めに浮いてくる、ストレートの球速が明らかに落ちてくるなど、疲れが見え始め、状態が悪くなる兆候が必ずある。この乱れたときにこそ、どこまで修正して踏ん張れるかで、一流・二流のピッチャーに分かれるといってもいい。
とはいっても、個人成績以上にチームの勝利が優先されるから、ベンチはピッチャーの調子が落ちてくれば、交代のタイミングを図る。その交代の基準を見つけだすのは、監督ではなくピッチングコーチの仕事だ。監督はチーム全体を見るのが仕事。ピッチングコーチはピッチャーのことならすべて知っておかなければいけない。これらをチームで共有していれば、ピッチャー交代に迷いは生まれない。
たまに球数を目安にして交代する監督がいるが、ピッチャーからすれば球数は関係ない。自分が思ったとおりのフォームで投げられているときは、120球でも140球でも投げられる。登板後の疲れも心地いいものだ。フォームが崩れているときは、球数が少なくても疲労が残る。ファンの方にも、交代の基準は決して「球数」ではないことを覚えておいてほしい。
【工藤のミカタ】
ピッチャーは、状態が悪くなる兆候が必ずある。
その交代基準を明確にしておくのはピッチングコーチの仕事