88年組の代表格・前田健太はメジャーへ。球界のエースを担う大野雄大、このままでは終われない斎藤、大石
田中、前田ら実力ある選手が集まる「88年組」。前田が移籍した今、日本球界を引っ張るエースは中日の大野へ。そして、かつて、この世代のトップだった2人が今年こそ復活なるか。
2016/01/19
勝率アップが課題の中日・大野は、前田が去った日本球界を背負える逸材
かねてからの夢だったメジャーリーグへの移籍が決まり、今季からドジャースのユニフォームを着ることになった前田健太。1988年生まれの27歳は、昨季15勝を挙げ、セリーグの最多勝と2度目の沢村賞のタイトルも獲得した。また、ゴールデングラブ賞とベストナインのW受賞も果たしている。
「カープを優勝に導けなかったことが僕の中では唯一の心残り」と話した前田は、9年間在籍したカープへの恩返しを海の向こうで果たすことを誓った。同じ88年生まれの同級生には、すでにメジャーで活躍中のヤンキース田中将大がいる。ピンストライプのユニフォームで2年連続二桁勝利(14年13勝、15年12勝)を挙げた田中の姿は、少なからず前田の刺激になったはずだ。
88年組の主な選手は以下の通りだ。
田中将大(ヤンキース)
前田健太(広島)
大野雄大(中日)
斎藤佑樹(日本ハム)
大石達也(西武)
福井優也(広島)
澤村拓一(巨人)
田中、前田がアメリカへ移籍となった今、88年組をけん引するのは中日の大野雄大だ。前田と大野、15年シーズンの2人の主な成績を比較してみよう。
◆前田健太
29試合 206回1/3 15勝8敗 完投5 勝率.652 防御率2.09
◆大野雄大
28試合 207回1/3 11勝10敗 完投6 勝率.524 防御率2.52
大野は昨季、投球回数では前田の206回1/3を上回る207回1/3を投げ、セリーグの最多投球回を達成。また完投数は6で、前田の5を一つ上回った。しかし、勝ち星や勝率、防御率の面では前田を超える成績を残すことができなかった。
また前田の場合、チームの絶対的な柱として君臨し、クライマックスシリーズ進出がかかる9月・10月の大事な終盤で5勝1敗という成績を挙げた。
一方、大野は8月27日のDeNA戦(横浜)で7回2失点で勝利投手になって以降は勝ち星を得ることができず、11勝10敗という成績でシーズンを終えた。
13年は10勝10敗、14年は10勝8敗と今季と合わせ3年連続で二桁勝利を挙げることはできたものの、勝率では5割台の成績が続いた。10年から6年連続で二桁勝利を挙げ、内4回が勝率6割台だった前田と比べると、その差は歴然としている。
また、本拠地のマツダスタジアムで9勝1敗、防御率1.38と圧倒的な強さを誇った前田に対して、大野は本拠地のナゴヤドームで3勝5敗と負けが先行した。防御率が1.97であったにも関わらず勝ち越せなかった一因は、エースとして最後まで粘り切ることができなかったことが挙げられる。
中日の不動のエースとしてだけでなく、前田が去ったあとの日本球界を背負っていける才能を秘めた大野。今季さらなる進化を遂げることが、同級生が待つ夢の舞台へと通ずる近道になるだけに、16年は真価が問われるシーズンとなる。