正捕手奪取のキーワード。リードを「見える化」する捕手防御率【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は捕手防御率についてだ。
2016/01/22
エースとコンビを組んで結果が出ているのは誰?
cERAが良い捕手はエースと組んでいるからではないか、と思われるかもしれない。
そのあたりの事情はなかなか複雑だ。例えば、大谷翔平は、昨年、3人の捕手を相手に投げた。捕手別の成績を見る。
最も多くコンビを組んだ大野よりも実は近藤や市川のほうが成績は良い。近藤は打力を活かして野手での起用も考えられている。そうなると正捕手の大野と市川が、大谷翔平と組むケースが多くなると予想される。この数字のままだと市川の起用が増えそうだ。
たまたま大谷の調子が良い時に近藤や市川の出番が回ってきたこともあり得るものの、それにしても大野の数字が他の2捕手以上に約1点以上悪いのは気がかりである。
次に広島の前田・黒田、新旧のエースの捕手別成績。
二人とも石原、會澤とコンビを組んだ。前田、黒田ともに會澤のほうが1点以上防御率は悪い。
チームとして打撃が良い會澤を正捕手に据えたいところで、この状況が続く限り、今年も併用になりそうだ。
もちろん、これだけが判断材料にはならないだろうが、若い捕手にとってcERAを向上させることは、ポジションを奪う上で、避けては通れないのではないだろうか。