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「待っても、待ってもボールが来ない」中日・若松。さらなる進化へ、キーワードは“現状維持”

昨年Bクラスに終わった中日において、彗星のごとく現れたのが若松駿太だ。昨年2ケタ勝利を挙げた期待の右腕にとって、本当の勝負は今季になるだろう。

2016/01/24

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進化を目指すときの危険性

「反面教師にすべきなのが広島の野村祐輔。彼も目を見張るストレートは持っていなかったものの、抜群のコントロール。待っても来ないチェンジアップとのコンビネーションが持ち味だった。それで1年目から9勝、12勝と上積みしたところで、その先をストレートの球速アップに求めた。けれど、チェンジアップの質も変わってしまい、ここ2年は7勝、5勝とジリ貧になっているでしょう」

 セ・リーグを代表するある主力選手は、進化を目指す場合の危険性をそう語る。だが、努力をした野村を責めることはできない。だからこそ、自分の持ち味は何か、それをフルに発揮するためにはどうすべきかを考え抜き、「打たれるまでは現状のままでやろう」という積極的な現状維持も必要だと説く。

「若松も野村に似たタイプ。あれだけのコントロールがあれば、ストレートのスピードは140キロ出るか出ないかで十分。それでチェンジアップも活きているのだから、しばらくそのままで攻められるのが一番困る。それでコンスタントに2ケタ勝てる力をつけ、モデルチェンジにはその頃から取り組めばいいのでは」

 10勝が“期待以上”から“期待通り”の数字になるように、若松にとって周囲の見方は大きく変わる。

 そうした空気の中で、いかに昨年のままの自分を貫き、スタミナやピンチを切り抜けるメンタルなど、見えない部分で着実な進化を遂げられるか。そして、その投球でチームを浮上させられるか。そんな力を備えられれば、たとえ10勝から数字的な上積みはなくても、将来性という点から見てブレイクしたと言っていいだろう。

 今季の中日は、63の堂上直倫、64の小熊凌祐、65の伊藤準規、66のダヤン・ビシエド、69の赤坂和幸ら背番号60番台の選手たちが大きなカギを握っている。

 その筆頭となる61の若松には、確かな2歩目のステップを踏んでもらいたい。

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