血の入れ替えを断行!「若返り」のために即戦力を指名した中日ドラゴンズのドラフト戦略
中日ドラゴンズには、待ったなしの世代交代が求められている。今年のドラフトでは9名の即戦力選手を指名し、また10名を超える選手を戦力外に。落合博満GMは血の入れ替えを断行している。
2014/11/03
即戦力9名を指名
2014年の中日ドラゴンズのドラフト戦略は明快だった。
谷繁元信兼任監督のコメントにあったように、テーマは「全員即戦力」と「センターラインの強化」。
1位から9位までを社会人、独立リーグ、大学生が占めており、高校生の指名はゼロという徹底ぶりだ。
「全員即戦力」という方針は、ひとえに2年連続Bクラスに沈んだチーム事情が大きく影響している。
ドラゴンズの大きなウィークポイントは2つ。先発投手のコマ不足とレギュラー選手の高齢化だ。
先発投手に関しては吉見一起、川上憲伸らのケガ、岡田俊哉の先発転向失敗、ダニエル・カブレラ、山内壮馬らの不振によってローテーションピッチャーに事欠く始末。一年を通してローテを守ったのは山井大介のみ、濱田達郎の台頭が唯一の光明だった。
レギュラー選手の高齢化はご存知のとおり。間もなく44歳になる谷繁を筆頭に、42歳の和田一浩、37歳の荒木雅博、36歳の森野将彦らがスタメンに名を連ねる。今季の開幕スタメンの平均年齢は実に35歳で、もちろん12球団ダントツのトップだった。
レギュラー選手の高齢化は、若手選手の伸び悩みの裏返しでもある。だからこそ、「全員即戦力」という新人選手たちに期待を持ってしまうのだ。
1位指名の野村亮介(投・三菱日立パワーシステムズ横浜)は、1年目から先発ローテーション入りが期待される投手。187センチの長身から投げ下ろす直球は最速149キロの威力を誇る。スライダー、カットボール、フォークと多彩な変化球も武器だ。いわゆる「中日顔」なのも頼もしい。
2位指名の浜田智博(投・九産大)は、独特なフォームの変則左腕。変化球の制球の良さと抜群のスタミナから、野村と同じく先発ローテーションの一角を担うことを期待されている。手薄な左腕のセットアッパーとして起用されても面白いだろう。
3位以降は、走攻守を兼ね備えた友永翔太(外・日本通運)、強打の二塁手として期待がかかる石川駿(内・JX-ENEOS)、勝負強い打撃が特徴の井領雅貴(外・JX-ENEOS)、守備範囲の広い遊撃手の遠藤一星(内・東京ガス)と、社会人野球屈指の実力者がズラリと並ぶ。いずれもレギュラーの座を脅かしてほしい存在だ。石川、遠藤の二遊間はぜひ見てみたい。
高校生の指名がなかったことで「若返りが求められているチームのものとは思えない」という指摘もあったが、まったく的外れな意見である。
高卒選手はドラフトで上位指名される逸材でも育成に時間がかかる。
守備を重視するドラゴンズならなおさらだ。誰もが認める大器の高橋周平でさえ、まだレギュラーを獲得したとは言い難い。