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マエケンマネーの地元還元は画期的な策――地域密着型球団に求められる「社会的責任」【経営学から見たプロ野球】

広島東洋カープの前田健太がロサンゼルス・ドジャースへ移籍するが、松田オーナーは譲渡金の一部を地元やキャンプ地に財政面で還元する意向を示した。

2016/01/27

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大半は球場の補修や補強に充てられるが

 今年、広島東洋カープのエース、前田健太がロサンゼルス・ドジャースへ移籍する。この移籍ではポスティングシステムが適用され、譲渡金2000万ドルを球団が受け取る予定だ。
 
 2000万ドルの行方は果たして――1月8日に松田元オーナーは「地域へ還元する」と地元メディアの取材に答えている。
 オーナーは、譲渡金の一部は球団施設に使用し、大半はフランチャイズを置く広島市、キャンプ地となっている宮崎県日南市と沖縄県沖縄市へ寄付する意向を示したのだ。
 
 この発言を聞き、「なぜ、選手補強へ使わないのか?」と思った方も多いだろう。1991年のリーグ優勝から24年間優勝から遠ざかり、前田健太も抜ける。チーム力は一時的に低下することは確実だ。
 他の球団の事例を見てみると、埼玉西武ライオンズは、松坂大輔がレッドソックスへ移籍した際に、約60億円という史上最高額の移籍金を得た。西武は外国人選手の補強や球場の改修費の一部などで利用。
 北海道日本ハムファイターズはダルビッシュ有の約40億円の移籍金は親会社の連結決算の特別利益とした(当時、タイに所在する親会社の工場が豪雨災害などを被った)。
 東北楽天ゴールデンイーグルスは田中将大の約21億円もの譲渡金を球場改修などへ使用している。※事例の詳細な移籍金の内訳は公開されていない。
 
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 これらの事例をみても、選手補強や球団内部などの使用が主であり、球団やチームの「強化」することが目的だ。
 
 しかし、今回『補強のためではなく、地域のため』にマエケンマネーを活用する意向を示したカープ球団の判断は、英断だったのではないだろうか。
 その最たる理由は、地域密着型の市民球団であるからだ。

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