外国人打者を一番活用したのは阪神タイガースだ!【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第15回目は、今季の外国人打者の活用状況を分析してみた。
2014/11/04
外国人打者の依存度が高いセリーグ
続いてセリーグの外国人打者だ。青地は規定打席未満の選手となる。
規定打席に達した打者は5人。巨人、中日は全員が規定打席以下だった。
阪神はゴメスが打点王、マートンが首位打者を獲得し、広島のエルドレッドは本塁打王に輝いた。
打撃三冠が外国人で占められたことでもわかるように、セリーグは外国人打者への依存度がパリーグよりもやや高い。
それだけに外国人打者の起用がペナント獲得の大きなポイントになっている。
同様にマトリックスで見てみよう。
確実性の指標として「打率」を横軸に、長打力の指標として「平均塁打(塁打÷安打)」を縦軸にして200打席以上の打者をマッピング。青地は規定打席未満。グリッド上の実線は、セリーグ外国人選手の平均値だ。
阪神は、確実性はトップクラス。長打力がやや物足りないマートンと、確実性、長打力ともに標準的ながら勝負強いゴメスをフルシーズン起用することで、高い生産性を上げた。鳥谷敬を加えた不動の中軸が機能したといえよう。
巨人はアンダーソンという長打力も確実性もある打者を獲得したものの、途中で故障もあった。
また、シーズン途中から加入したセぺダと併用する必要もあったため、十分に活用できなかった傾向がある。
広島は大当たりする一方でスランプになると全く打てなくなるエルドレッドと、キラのコンビ。
キラが不振になるとロサリオを上げた。ロサリオは素晴らしい成績を残したが、5回も昇格、降格を繰り返すなど、起用法に野村監督の苦労がうかがえる。
昨年大活躍したバレンティン、ブランコは故障でフル出場できず。ヤクルト、DeNA両チームの攻撃力を大きく減退させた。
こうしてみると、今季の外国人打者を最もうまく活用したのは阪神タイガースであることがわかる。
選手のポジションや打順を固定し、役どころをはっきりさせることで、フル稼働させた。また、相乗効果も生んだ。
外国人選手を活用するには、明確な方針が必要であることを改めて感じさせられる。