監督にとっての春季キャンプは最重要仕事――落合博満氏が語る、ペナント制する上で必要な「セカンド・チーム」の構築【横尾弘一の野球のミカタ】
球春到来、2月1日にプロ野球は一斉キャンプインした。下旬にはオープン戦が始まり、実は時間的にそれほど長くはない。ペナントレースを制するために、この時期、監督はどのようなことを考えているのだろうか。
2016/02/01
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選手起用の難しさ
昨年、中日の谷繁元信監督は、8回を任せるセットアップに又吉克樹、9回のクローザーに福谷浩司を据え、彼らに経験を積ませながら一人前にしようとした。何度か不本意な投球が見られても、我慢して起用するところまではよかった。
しかし、これ以上チームの勝ち星を失うわけにはいかないという状況になった時、又吉を9回に持っていったり、田島慎二に任せてみたり、先発で結果の出なかった山井大介をリリーフに回したりと、その場凌ぎの起用を強いられてしまった。
これで負けが込むと、期待に応えられなかった選手が受けるダメージも大きくなる。
だからこそ、又吉や福谷に期待を寄せつつも、彼らの影武者、セカンド・セットアップやセカンド・クローザーを誰にするのか想定しておくことが必要だったのだ。
「又吉があそこまで苦しむとは、私自身も想定していなかった」
落合GMもそう振り返るように、どんなに有能な指揮官でもチームのすべてを掌握するのは難しい。
ゆえに、どんなセカンド・チームをイメージするかが、監督の腕の見せ所でもあるのだ。キャンプ地に足を運ぶと、監督がレギュラー以外にも密にコミュニケーションを取ったり、直接指導する選手を見ることができる。そうした光景からセカンド・チームをイメージしてみるのも面白いものだ。
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