カープ・野村へ継承される前田健太の魂――肉体改造と新変化球習得で巻き返しを図る2016年
カープ先発陣の最大の課題は、エース・前田健太の抜けた穴を今ある戦力でどうカバーしていくかだろう。
2016/02/02
体力強化に励んだ2015年オフ
決意は体が物語っている。頬の肉は削げ落ち、精悍さは増している。それでいながら、約82キロの体重は変わっていない。
エース前田健太がメジャーリーグに移籍、首脳陣はキーマンの一人として野村祐輔を挙げている。2012年に防御率1.98で新人王、翌年は12勝をマークしたものの、2015年は自己ワーストの5勝に終わっている。実績十分な右腕だけに、ローテーションの軸として期待を集めるのは当然であろう。
1月に母校・明治大で行った自主トレのテーマは明確だった。「体力強化」である。決して大きな負荷ではないが、バランスや精度を意識したトレーニングが長時間にわたり続く。26歳の体はじわじわと追い込まれていく。
「力を強くすることです。体が変われば、今までと同じように力を出しても、自然とパワーが増すと思います。野球で力を出そうとするのでなく、体を強くすることで自然と力は出るという考えです」。
2015年の課題は把握している。シーズンを通しての安定感である。5月までに3勝をマークしたものの、6月以降の5カ月でわずか2勝に終わった。
「春先は良くて、あとはダメというシーズンでした。これではチームの軸になれません。春先の良かったところを1年間続けないといけませんでした」
そのために、彼は地道なトレーニングを自らに課した。ランニング、キャッチボール、ウエイトトレーニング、バランスや体幹を培うトレーニング……。
トレーナーのアドバイスに耳を傾けながら、ひとつひとつの動きを丁寧に再現する。野村の大きくなった下半身が安定感に直結しないわけがない。