【PR】「二度と書けない」1冊。今のベイスターズは新風吹き込むエリート集団と“もののけ”との壮絶な戦い<村瀬秀信氏インタビュー#2>
このたび、『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』(双葉社刊)が文庫化された。著者・村瀬秀信氏がこの書籍を通じて野球ファンに伝えたかった思いとは――。2回目は文庫版の見どころを中心に話を伺った。
2016/01/30
「二度と書けない」一冊
「二度と書けない」と著者が述べた濃密な一冊。球団とは何か。選手とは何か。伝統とは何か。どうして勝てないのか――60年以上にわたりプロ野球の球団が抱えてしまうトラブルのほとんどをホエールズとベイスターズという球団は経験してきているのかもしれない。だからこそ他球団のファンにも、より深くプロ野球を知るため手にとってほしい。
最後に村瀬氏に今シーズンのDeNAについて尋ねてみると、ちょっと困りながらも確信めいた表情で次のように語った。
「ラミレス新監督には期待していますよ。けどベイスターズの場合、戦いはペナントと別の場所にあるんです。親会社のDeNAはやり手です。営業に力を入れ、斬新なアイデアと経営で観客動員を伸ばし、地域復興までしている。今では他球団の関係者がDeNAの経営哲学を学びにきているほどです。親会社としてこれほど優れた運営はかつてなかったでしょう。しかしチーム自体は38年に一度しか勝てない宿命のもとに生まれているわけで、そこの戦いとなるわけです。つまり既存のプロの球団とは一線を画する経営で新風を吹き込んだエリート集団と“もののけ”との壮絶な戦い。昨年は首位から最下位へ転落し、あの明るかった中畑清前監督にギブアップと言わしめた。今のところ“もののけ”のほうが優勢ですね。果たして今シーズンは……」
村瀬氏インタビュー第1回はこちらから
【PR】なぜこれほどベイスターズは弱いのか?――2010年に知った異常事態<村瀬秀信氏インタビュー#1>
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【著者紹介】
村瀬秀信
1975年神奈川県生まれ。茅ケ崎西浜高校野球部卒。全国を放浪後、出版社・編プロ勤務を経て独立。幼少期からの大洋・横浜ファンのため、勝敗に左右されずプロ野球を愉しむ術を自然と体得。主な著作として『プロ野球 最期の言葉』(イーストプレス)、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』(交通新聞社)などがある。
【書籍紹介】
4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史 (文庫版)
2016年1月13日発売
村瀬秀信著 双葉社刊 820円(税込)
12球団最多4522敗、5年連続最下位。そして2015年、前半戦首位ターンからの最下位転落。
でも、応援するんだよ! “98年の奇跡”から一転、泥沼にはまった最弱球団が「熱く熱く立ち上がる」まで。現役選手、OB選手、歴代の監督やコーチ、球団社長など総計34人の関係者が語り、生まれついての横浜ファンの作家が魂を削って綴った、ホエールズ&ベイスターズの歴史を徹底総括する渾身のノンフィクション。
文庫版には、書き下ろし原稿を大幅に加え、文庫版最終章の「234敗の追記」、「追録 村田修一が見ていた世界」、伊野尾宏之氏(伊野尾書店店長)、小野瀬雅生氏(CRAZY KEN BAND)の解説を収録。
第1章 1998年
第2章 最下位
第3章 残された者たち
第4章 マルハと漁師
第5章 横浜ベイスターズ
第6章 “もののけ”の末路
第7章 球団のDeNA
第8章 ホームゲーム
文庫版最終章 234敗の追記
追録 村田修一が見ていた世界