過去6人、成功組は伊東監督ただ1人。7人目、現役引退後即監督の高橋由伸監督はジンクスを振り切れるか
2015年に現役引退後即監督に就任した巨人の高橋由伸氏。過去には伊東勤監督ら6人が同じパターンを経験するも結果を出せたのは伊東監督ただ一人だ。高橋新監督はジンクスを跳ね返し、V奪還を果たせるのだろうか。
2016/02/03
過去の大半のケースは戦力不足だが……
高橋監督と同じジャイアンツの長嶋茂雄監督も就任1年目は球団史上初の最下位。それも開幕6試合目に最下位転落して以降は1度も浮上できない惨状だった。
V9を成し遂げたベテランたちは衰えを隠せず、活躍したのは5年連続打点王の王貞治のみ。野手は「国産主義」を撤回してまで獲得した切り札デービー・ジョンソンが役に立たず、投手は10勝(18敗)の堀内恒夫がチーム最多勝というありさまだった。こんな球団史上ワーストのチーム状態でも、長嶋監督見たさのファンは絶えず観客動員数、テレビ視聴率は共に大幅アップ。「ミスター」の人気だけは衰えなかった。
「ミスターロッテ」有藤通世も監督としては苦戦。
就任直後に主砲の落合博満を大型トレードで放出。レロン・リーの衰えや開幕4番に抜擢した古川慎一の不振もあり、打線はシーズンを通して貧打に悩まされた。最終順位は前年より一つ下の5位。
翌年チームは最下位、自身も有名な10.19での抗議や、自軍の高沢秀昭と首位打者を争っていた松永浩美(阪急)への11打席連続四球で多くの批判を受けた。
3年目の89年も最下位に終わり辞任。
広瀬監督は野村克也前監督解任に反発した江夏豊ら主力選手の退団、稲尾も黒い霧事件による選手不足に悩まされ共に1年目は最下位。藤田国鉄は、宇野光雄の加入もあり、前年より10勝上積みこそしたものの、戦力差はいかんともしがたくシーズンは5位。
昔の引退即監督は困窮したチームのため生え抜きのスター選手がしかたなくその座にという形が多かった。
過去の例と比べれば今年の巨人のチーム事情は明るいだろう。
しかし鉄壁のブルペンに衰えの見える投手陣、球団史上に残る貧打に終わった打線共に課題は多い。高橋新監督はこのジンクスを振り切って4年ぶりの日本一となれるのだろうか。