ソフトバンク、選手発掘の眼は中南米にも。自ら道を切り開き、ドミニカで奔走する担当スカウト
ドミニカ共和国で選手発掘に日々奔走するのが、ホークス中南米担当スカウトの萩原健太氏だ。
2016/02/08
高橋康光
球界との縁は日本ハムでの通訳
昨シーズンも圧倒的な強さで日本シリーズを制したソフトバンク。若手とベテラン、生え抜きとFA組、日本人と外国人……あらゆる要素が高次元で融合するその強さに今シーズンもスキは見られない。
さらなる高みを目指すソフトバンクの目は海外へと向けられ始めている。その象徴ともいえる存在が、2014年12月より新たに設置された中南米担当スカウトに就任し、ドミニカ共和国を拠点に活動を行っている萩原健太氏である。
萩原氏は現在35歳。日本球団のスカウトとしては非常に数少ないプロ選手としての経験を持たないスカウトである。
が、すでにドミニカ共和国在住10年を数える萩原氏は、間違いなく最も中南米球界事情に精通し人脈を持っている日本人であろう。
そんな萩原氏と球界のつながりは、アメリカの短大を卒業後、3シーズン日本ハムでの通訳として活動したことから始まる。
そこで、当時在籍していたアルモンテ(ドミニカ共和国出身)やセギノール(2004年のホームラン王・パナマ出身)といったラテン系の選手と交流を深め、シーズンオフには彼らを訪ねるためにドミニカを旅行したりする中で、スペイン語や中南米の野球に興味を深めていったそうだ。
2007年には球団通訳を辞め、単身ドミニカ共和国へ渡る。
「日本球界にラテン系の選手も増えてきており、スペイン語を身につけたいなというくらいの気持ちでしたので、まさか今もなおこの国で暮らすことになるなんて全く思っていませんでした(笑)」
アルモンテの野球アカデミーの運営を手伝ったり、ウインターリーグに参戦する日本人選手の通訳を務めるなど、現地球界との関わりを深め続ける中で、スカウトという道が拓けていく。
「アカデミーでの仕事や、自分自身も少年チームを指導する機会があり、どういう子がプロになるのかというモノサシが徐々にはっきりとしてきました。そして、この数年ウインターリーグはほぼ欠かさず球場に足を運びチェックしていますし、こちらの球界でも大分人脈が広がりました。そんな時にホークスからお話をいただいたんです」