ソフトバンク、選手発掘の眼は中南米にも。自ら道を切り開き、ドミニカで奔走する担当スカウト
ドミニカ共和国で選手発掘に日々奔走するのが、ホークス中南米担当スカウトの萩原健太氏だ。
2016/02/08
高橋康光
ドミニカのウインターリーグが一番レベルが高い
――現在の中南米の野球事情について聞かせてください。
「やはりドミニカのウインターリーグが一番レベルが高いですね。3A扱いのメキシコのサマーリーグ以上です。DeNAの筒香選手が10試合で打率2割ちょっと超えたところです。慣れてくればもっと打ったとは思いますが、日本を代表する打者でも即結果を出すのは難しいというレベルです。1軍半レベルの選手ではまず試合に出られないと思います。
逆に拍子抜けしたのがキューバです。何度か足を運んでいますが、やはり相次ぐ亡命の影響でしょうか、メキシコリーグ以下というのが率直な印象です。特に投手のレベルが今一つで、MAX90マイルにも届かない投手が大半でした。打高投低が顕著でしたが、そんな中でもグリエルは別格という印象でした」
――ちなみにドミニカからは選手は獲得しませんでした。阪神に入団したマルコス・マテオなどに興味はなかったのですか?
「当然マテオはいい投手ということでリストアップはしていましたが、単純にうちの補強ポイントではなかったということですね」
――今後の目標などあれば聞かせてください。
「私の仕事如何で、中南米担当スカウトという新しいポストの今後の方向性が決まるでしょう。私も選手と同じ1年契約という条件ですし、プロとして結果を出す、ダメならクビという覚悟は常に持っています。右も左もわからない中でドミニカに来ましたが、セギノールが『ケンタ、PLAY HARD, WORK HARDだよ。がんばっていれば、必ず誰かが見ていてくれる』と常々言っていたことを思い出しがんばりました。
やはり日本ではプロ選手の経験がないスカウトの方はほとんどいませんし、その分努力しなければいけないのはわかっています。私ががんばることで、プロ経験がなくてもスカウトになれるという道標になれればうれしいです」
サントドミンゴの球場で萩原氏を見かけると必ずチーム関係者、MLB関係者と思しき人、選手たちと親しげに会話を交わしている。「もう日本よりドミニカのほうが暮らしやすいです」という彼の言葉どおり、現地の風景にすっかり溶け込んでいる印象だ。
単身ドミニカに乗り込み、自分の力で道を切り開いてきたという強い意志と自負を話の節々から感じさせられたインタビューであった。
チームがシーズンを戦う中、一人中南米を駆け回り新しい選手を探す萩原氏の旅は今季も続く。