中村晃、筒香、秋山……野手準レギュラー組のオープン戦好成績は、スターへの第一歩【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回はオープン戦の成績とレギュラーシーズンの成績との関連性だ。
2016/02/06
オープン戦の数字は指標になるか
NPBのキャンプは1クール目を終えて、2クール目に入ろうとしている。2週間後には沖縄でオープン戦が始まる。
オープン戦=春季非公式試合は、あくまでシーズンへ向けたテストだ。したがって、打撃成績も公式記録ではない。
しかし指揮官にとっては今季のオーダーを固める上で重要な指標となる。レギュラーを目指す選手には、限られた実戦の中で存在をアピールするチャンスだ。
ところでオープン戦の成績は、その後の公式戦にどれほど影響を及ぼすのだろうか。
過去3年間の野手のオープン戦の打率10傑の選手が、レギュラーシーズンでどんな成績を残したかを見てみたい。
畠山はオープン戦好成績も、公式戦で苦労
2013年からだ。表内の順位は、その年の打率ランキングだ。
東京ヤクルトスワローズの畠山和洋は2012年、4番を打ち規定打席にも達した。オープン戦の活躍によって大いに期待させたものの、開幕後、絶不調に陥る。ウラディミール・バレンティンがNPB本塁打記録に迫る中で、畠山は5番を任されていたが、夏場あたりからはケガもあり、松元ユウイチに出場機会を渡してしまった。
西武ライオンズのエステバン・ヘルマンは2年目。レギュラーシーズンも好調を維持し、3割をマーク。ヘルマンが3割を打ったのはこの1年だけだ。
対照的に福岡ソフトバンクホークスのブライアン・ラヘアは前年、MLBのオールスターゲームに出たバリバリのメジャーリーガー。オープン戦の成績で開幕5番に座ったものの調子が上がらず、1年で解雇された。
オープン戦はレギュラー未満の選手にとっては、正位置を確保するチャンスだ。
前年39試合の出場にとどまった6年目のソフトバンク・中村晃は、オープン戦で3割をマーク、開幕戦では代走で出場するもすぐに二軍に降格、しかし5月14日に一軍に復帰してからは一番に定着し、3割をマークした。
ホークスには内川聖一、柳田悠岐、首位打者の長谷川勇也と3人の外野手がいる中で、中村は内川を指名打者に追いやる形でレギュラーの座を確保した。