則本をおさえチーム一の奪三振率。与四球率が大幅に改善された松井裕樹の2014年
昨年のドラフトで大いに注目された東北楽天の松井裕樹。ルーキーイヤーはプロの世界に苦しみながらも、シーズン終盤にようやく光明が差した。数字からしても、7月以降その変化は歴然としている。
2014/11/07
制球の安定に苦慮したルーキーイヤー
今年のドラフト会議では、安楽智大(済美高)や有原航平(早稲田大)に注目が集まったが、昨年ファンの視線を一身に浴びたのが松井裕樹である。
楽天、ソフトバンク、日本ハム、中日、DeNAの5球団が1位指名し、抽選の結果楽天が交渉権を獲得した。
今季限りで退任した星野仙一監督は、若手を積極的に起用するのが特徴だ。
松井も例に漏れず、春季キャンプの最初から1軍に帯同した。楽天では、2007年の田中将大以来となる高卒新人での1軍キャンプだった。オープン戦で13イニング無失点と結果を残し、ローテーションの関係で開幕1軍こそ逃したが、4月2日のオリックス戦でプロ初登板初先発を果たした。
そこでプロの壁が松井の前に立ちはだかった。
初登板は6回3失点と、先発の役割こそ果たしたが5与四死球。以降5、6、8と登板するたびに与四死球が増えていった。「松井、制球難」といった見出しが目立つようになり、プロ初勝利をあげることなく4月24日に1軍登録を抹消された。
制球を意識したのか、高校時代に見られた腕を思いきり振ったフォームではなく、全体的に小ぢんまりとしたフォームからも松井の苦悩を感じられた。
2軍でリリーフ登板もしながらフォームの修正や制球力の改善に励み、6月6日に松井は1軍に再登録された。7月2日のオリックス戦でリリーフ登板ながらプロ初勝利をあげ、以降もリリーフ登板が続いた。先発としてのプロ初勝利は8月13日のソフトバンク戦。7回2失点9奪三振、与四球4という数字以上に松井本来の腕の振りが戻ってきたのは大きな進歩だった。
次のページの表を見ていただければ、7月以降とそれまでの違いは明らかだ。