京大初と騒がれて……ロッテ・田中、2年目へ静かなる闘志――悩める右腕を導いた松永の存在【マリーンズファーム通信#11】
昨年の春季キャンプで京大出身のルーキーは連日メディアの注目の的だった。しかし開幕してみればプロの洗礼を浴びることになった田中英祐。2年目は自分のペースで着実に前進している。
2016/02/09
千葉ロッテマリーンズ
先輩も認めた、負けず嫌いな性格
マリーンズの左の貴重なセットアッパーとして3年連続で40試合以上投げている実績ある投手の練習メニューは、やはりストイックだった。それでも妥協なき早朝からのトレーニングに歯を食いしばりながら、ついていった。走る練習では1番になることにこだわった。毎回、全力疾走。トップでゴールし続けた。「必死に走る姿を見て、凄い負けん気を感じた。こんなに負けず嫌いな選手とは知らなかった」と松永。その根性は驚きだった。
昨シーズン、二軍のグラウンドで悩める田中の姿を、松永は見ていた。思うように投げることができない。ボールがコントロールできない。こんなはずではなかった。悩みは深いように思えた。
だから、一緒に自主トレをすると決めた時、どんなアドバイスをすればいいかを真剣に考えた。自身の大学時代の監督、コーチなど、いろいろな人にも相談をしてみた。
投手陣のリーダー格である涌井秀章投手にも聞いた。そしてスタンスを決めた。
「いろいろと考え込むタイプ。そしていろいろな意見を吸収し過ぎてしまうところがあるように感じた。だから、さりげないアドバイスを心がけた。それは涌井さんも同じことを言っていた」
トレーニングはもちろん、色々な場面でボソッと助言した。朝の食事も共にして、優しく声をかけた。「プロでは食べるのもトレーニングだよ」。食の細かった田中だが、練習量の多さもあり、よく食べるようになった。「朝からホットサンドセットにナポリタンの大盛りを食べていましたからね」と松永は笑う。