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「歴史的一戦」でラジオゲスト解説。エスコンはチームとファンの夢の結実【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#195】

3月14日、エスコンフィールドがついに開業。この記念すべき試合でHBCラジオ生中継のゲスト解説者を務めた。実際に訪れた新本拠地、東京時代からのファンにとってみれば、まさに感無量である。

2023/03/19

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えのきどいちろう



動線がわからず、誰もが初めての経験

 エスコンフィールドがついに開業した。去る3月14日は初のオープン戦、埼玉西武ライオンズ戦が組まれ、北海道では地上波4局が生中継(HBC、STV、HTB、NHK)する異例の事態となった。もちろんCSではGAORAの生中継が入っている。お祭りだ。北広島市のFビレッジ上空には朝からヘリコプターが飛び、新球場開業の「歴史的一日」を空撮している。僕は高台にある札幌北広島クラッセホテルに前泊して、朝を迎えていた。遠足の前の晩の小学生みたいに、興奮してあまり眠れなかった。ついにエスコンフィールドに乗り込むのだ。光栄なことに僕はHBCラジオ生中継のゲスト解説者だった。
 
 HBCラジオからそのオファーをいただいたのは2月のことだった。3月30日の開幕戦(楽天戦)のチケットをどうにか確保(チケット購入権を手に入れた友人が誘ってくれた)し、宿の手配等を終えたタイミングだった。何とこけら落としの「ゲスト解説」だという。開業日にエスコンに入れるのだ。断る理由がない。一も二もなくオッケーして、よくメールの文面を読み込んだら「ゲスト解説」というけれど、他にOB解説者が出演するわけじゃないのだった。実況アナと僕の2人きり。これは緊張する。果たしてそんな「歴史的一戦」の解説を引き受けてよかったのだろうか。
 
 僕がラジオの野球中継に呼ばれる基本パターンは「実況アナ+OB解説者+α」の「+α」の部分だった。これはたぶん50試合以上経験してると思う。まぁ、試合中継の屋台骨は専門家に任せて、僕は「ファイターズの熱狂的ファン」の立場で賑やかしに入る。これは試合見ていて疑問に思ったことをその場でOB解説者に訊けて、すごく有難いのだ。まぁ、そういう意味では中継のリスナー代表みたいな立ち位置になる。
 
 で、これまで唯一、OB解説者なしで僕を中継ブースに迎え入れたのが他ならぬHBCラジオだった。2018年のオープン戦、台湾のラミゴ・モンキース(現・楽天モンキース)戦。ラミゴの中心選手に王柏融がいた。僕は王柏融を見に台湾へフラフラ出かけていたから、たぶん台湾観光情報込みのオファーだった思う。まさかその後、王柏融がファイターズに入団することになるとは夢にも思わない。実況は渕上紘行アナだった。放送後、旧知の岩本勉氏に「ひとりでやってましたなぁ」とツッコまれ冷や汗をかいたのだった。
 

 
 なので今回の「歴史的一戦」は2度目の「ひとり解説」だった。タクシーで関係者入口に乗りつけ、HBCラジオの担当Nさんに連絡を取る。札幌ドームの動線なら慣れていて一人でスイスイ動けるのだが、エスコンは初めてで勝手がわからない。で、この日は全員がそうなのだった。関係者入口の警備員さんも球場係員さんも、HBCラジオのNさんも、北広島駅に降り立ったファンも、みんな「これでいいのかなぁ」という感じだ。みんな初々(ういうい)しい。みんな晴れがましい。実は僕の乗りつけた入口は違う場所で、HBCラジオのNさんと落ち合うのはなかなか大変だった。
 
 まず、球場内のエレベーターでラジオ中継ブースに挨拶に行く。エスコンのラジオ中継ブースは常設2つ、エキストラでもう1つ増やせるそうだった。けっこう上の方で驚いた。球場の中継ブースで上の方というと京セラが有名だが、負けていない。ここまで高いとTVモニターで見るのがメインになり、肉眼で見るのは補助という感じになる。
 
 常設の2つのブースはライバル局のHBCラジオ、STVラジオが使うのだろう。これ、例えばABCラジオ、MBSラジオが必ずクルーを送り込んでくる阪神戦や、中継が集中する日本シリーズなどの場合は記者席や観客席をつぶしてブースを設営するしかないと思う。
 
 常設のHBCブースはなかなか狭かった。席は3つしかなくて、実況アナとデータマンが2つ使うと解説者は1人だけしか入れない。データマンが実況アナに渡すデータカードは生中継の命だから、つまり、今後は「+α」で僕が呼ばれることはなさそうだ。まぁ、こればっかりはしょうがないかな。こけら落としの「歴史的一戦」に呼んでもらっただけで幸運だと捉えたい。
 

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