かつての教え子・清原容疑者逮捕。沈黙を守る、ミスターの胸中は?
覚せい剤所持容疑で元プロ野球選手の清原和博容疑者が逮捕された件は、連日ワイドショーや週刊誌などで報じられている。しかしかつて監督と選手の関係だった長嶋茂雄氏は沈黙を守ったままだ。
2016/02/14
名球会イベントでも気にしていた長嶋氏
長嶋氏と清原容疑者の間には、かつて間違いなく師弟関係が築き上げられていた。
思い起こされるのは1996年11月20日。西武からFA宣言した清原を獲得するため、当時巨人の監督だった長嶋氏は本人との交渉の席に直接出馬。「思い切って僕の胸に飛び込んで来てほしい」とラブコールを送り、これにグッと気持ちが傾いた清原が阪神からの誘いを断って巨人入りを決意した。
清原にとっては「巨人一本」の希望を持ちながらドラフトで巨人から指名されず涙を流してから11年後のことだった。少年時代から憧れを抱いていた偉大なるミスターに最大級の言葉をかけられ、それまで抱いていたGへのわだかまりも消滅していた。身を粉にして長嶋氏のためにも巨人の一員としてプレーすることを決意した瞬間でもあった。
翌1997年から5シーズンに渡って長嶋氏と清原は監督と選手の間柄になる。
浮き沈みがありながらもグラウンドで懸命にプレーしていた清原に長嶋氏は叱咤激励しながら、チームの主軸として期待と信頼を向けていた。長嶋氏は入団交渉の席で清原に「将来、君には巨人の中心を担う役割を果たしてほしい」と口にしていた願望を現実化させようとしていたのだ。
今年1月11日にヤフオクドームで行われた名球会イベントで両者は久々に対面。
長嶋氏から「清原! 元気にしてるか! いつも君の話をしていたんだ!」と声をかけられ、目を潤ませながら深々と頭を下げる清原の姿が多くのメディアで報じられたのは、まだ記憶に新しいはずだ。
それから1カ月も経たないうちに清原は「スーパースター」から「容疑者」へと転落してしまった。恩師をも裏切った清原容疑者の罪は重い。