プロ16年目の猛奮起。巨人・阿部慎之助に求められる3つの役割
黙々と調整を続ける巨人の阿部慎之助。16年目を迎える大ベテランにはさまざまな役割が課せられている。
2016/02/22
実力で正捕手の座を奪う次世代の台頭を
だからこそ阿部は宮崎で1人の道を選んで心身ともに己を追い込み、みっちりと鍛え込んだ。もう1度、すべてをリセットして2001年のルーキーイヤーの時のような初々しくガムシャラだったかつての自分を取り戻し、原点に立ち返ろうとも試みた。そして、その答えをキッチリとシーズンで出そうとしているのである。
さきに挙げた1つ目の「捕手再復帰」と2つ目の「打撃復調」はシーズンを通じ、良くも悪くも成績として数字によって表される。
しかしながら3つ目の「後継者の育成」は数字で表すことはできないものだ。成果を示す物差しがないことは、とても難しい役回りと言わざるを得ない。
それでも長きに渡ってチームの精神的支柱を務めてきた阿部は今季、真のチームリーダーとなるべき坂本勇人や長野久義に対し、自身の後継者としてさまざまな帝王学を伝授していかなければならないだろう。自らとともにチームを支えた高橋由伸監督が現役を退いた今、Gのリーダー役の育成は急務だからだ。
加えて「後継者の育成」には無論、正捕手のポジションについても含まれる。今季3年目の小林誠司にはポジション争いで勝たなければならない反面、チームの将来を考えれば正捕手に定着できず伸び悩んでいる面を改善させるべく徹底指導を施すことも期待される。時に鬼になっての厳しい〝可愛がり〟も状況に応じて必要であろう。
阿部本人も一人三役で猛奮起する覚悟を決め、肝に銘じているのではないか。
身を粉にして戦おうとしている背番号10の生き様に注目したい。