大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



エスコンフィールドで開幕。ドーム式植物園の構造にハッピー!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#196】

ついにエスコンフィールドが開場した。野球ファンにとって魅力的なポイントがたくさんあった。1日球場を満喫したうえでの感想を列挙していきたい。

2023/04/02

text By

photo

産経新聞社



元北海道のヒーローに手玉とられる

 「歴史的一日」を迎えて、球団関係者も報道陣も、球場クルーも飲食の店員さんも、そしてファンも気持ちが上ずっていた。僕だってそうだ。満員が予想される(実際は約3万1千人の発表)から、オペレーションは大混乱だろう。100均で買ったマイボトルを持参した。エスコンは「飲食物持ち込み禁止」を強く打ち出してるが、飲食売店は1時間待ちの混雑だ。売店に並んでて野球が見られないのは最悪だ。水さえ確保すれば生命維持できるだろうと思った。マイボトルがあれば洗面所の水をくむのだって可能だ。
 
※ホントはエスコンのスタジアムグルメを誇りたい(ベルーナドームを抜いて、「日本一おいしい球場」になったと思う)が、開幕戦の飲食オペレーションは残念だった。店員さんが不慣れ&観客(の一部)は電子決算に不慣れ、かつ初めての3万超入場なのだった。僕が知りたくてわからなかったのは飲食売店が何時まで営業してるかだ。たとえば21時に軒並み閉まるんだとしたら、早めに列に並ばないと食いっぱぐれてしまう。で、(これからもそうかはわからないが)結果的にはゲームセットまで営業していた。そうとわかっていたら21時頃、空いた時間帯になってから売店へ行けばよかった。
 
 試合はファイターズ打線が楽天・田中将大に手玉に取られた格好だ。さすがNYのスター投手、そして元北海道のヒーロー。まぁ、この試合、難しいかもなぁと思っていた。ファイターズは「歴史的一日」を迎えて興奮と緊張につつまれていた。試合前の行事も多い。報道関係や本社がらみ、スポンサーがらみの方が大勢、激励に訪れている。試合開催も特別にこのカード1試合。とうてい「普段着野球」というわけにいかない。その点、ビジターの楽天はノビノビやれる。
 
 楽天は伊藤裕季也、フランコのホームラン攻勢で試合をモノにしたのだが、前述の通り、僕の席はレフトがぜんぜん見えないので、2本のホームランは「あ、入ったんだな」と雰囲気で判断するしかなかった。レフトフライを松本剛が捕ったかどうかも雰囲気で知るしかない。コンサートなどで「見切れ席」を発売することがあるけど、あそこは野球ではなく臨場感を楽しむ席なんだろう。いや、たった4000円で「臨場感」できて僕はハッピーだけど。

帰路の大混乱は時間が解決してくれる

 新聞各紙で報じられた帰路の大混乱にも触れておこう。僕の当初の見込みはこうだった。「たぶん北広島駅は入場制限するはずで、札幌市営地下鉄の経験だと北海道では乗客はパンパンには詰め込まない。だから北広島駅ではなかなか電車に乗れないだろう。シャトルバスで新札幌まで移動して、そこからJRに乗り込んでも(首都圏の感覚なら)楽勝で乗れる。乗れないとしても地下鉄で札幌駅へたどり着ける。バスで新札幌を目指そう!」
 
 が、試合終了後、エスコンフィールドのビジョンに早々と「新札幌行きバス、待ち時間90分」が表示された。3月下旬とはいえ、北海道の夜は寒い。90分バス停で立って待つのはきびしい。それなら北広島駅まで歩いたほうが身体はあったまる。
 
 と思ったのだが、徒歩で北広島駅を目指した僕らは「歩き20分+駅の待機列90分」を両方味わったのだった。列に並びながらJR千歳線の車両を見ると、特に先頭車両がガラガラだ。これは言っても信じてもらえない気がするけど、車両のロングシートは埋まってて7人くらいが立ってるかな、つまり、ガラガラなのだ。駅が客を捌(さば)けていない。
 
 改札の外は地獄のような長蛇の列なんだけど、構内には入場制限がかかり、車両に人を乗せてない。あれは早急に首都圏のJR、私鉄から人を招いて、ノウハウ伝授を乞うといい。結局、僕は増発した臨時便に乗ったのだが、先頭車両は「祝日の通勤電車」みたいにガラガラだった。座ってる人が足をどかせばたぶん車両のフロアをルンバが走れた。
 
 負け試合で、死角のレフトにホームランを打ち込まれ、大混雑で一苦労だったエスコン開幕戦だが、一般観客としてこれを経験できたのはファン冥利だ。おかしなもので僕らは「あんときゃ大変だったねー」と仲間内で盛り上がる。「釧路の日没コールド」なんて、現地で観戦できなかったのが悔やんでも悔やみ足りない。行ってた連中から自慢されるのだ。酷い目に遭ったヤツが酷い目に遭ったことをなぜか自慢する。
 
 いずれ不慣れ・不手際関係のもろもろは時間が解決してくれるだろう。僕はいつか「あの日、北広島駅の列にいたよ」「え、えのきどさんもですか。僕もいました」「寒かったねー」「トイレ我慢してもらしそうでした」みたいな話を誰かとしたい。ま、実際はトイレを我慢してたのは僕のほうなんだけどね。

1 2


error: Content is protected !!