「捕手」か「野手」か、森友哉・近藤健介強打者故の可能性
西武の森、日本ハムの近藤は打撃センス抜群。チームには正捕手が控えるため、起用法に悩ましい。過去にも自慢の打力を活かし、捕手から野手に転向し成功を収めた選手は多い。
2016/02/24
昨年は捕手出場ゼロの森
埼玉西武ライオンズの森友哉は高卒2年目の2015年で17本塁打、68打点。打率.287は打率ランキング8位だった。
20歳で規定打席以上の打席数に立ったが、最年少の記録となった。
なお高卒2年間で通算23本塁打は、王貞治の24本に次ぎ史上8位だ(1位は清原和博の60本)。
森は打者として順風満帆な一方、守備位置の選択では難しい状況が続く。
大阪桐蔭高校時代は、森の1つ先輩である藤浪晋太郎(現阪神)とバッテリーを組み全国制覇を成し遂げた。西武に入団後は炭谷銀仁朗という正捕手がいるために、捕手ではなく主に指名打者として起用されてきた。
昨年は指名打者108試合、右翼手で23試合として出場。捕手での出場はなかった。
西武の田邊監督は森に対して「炭谷と競争して捕手のポジションを勝ち取れ」と発破をかけているが、経験が物をいうポジションだけに容易ではない。田邊監督は現時点でコンバート自体を否定しているが、自慢の打撃力をどう活かすか。森の成長とともに首脳陣も起用法を決めていくことになるだろう。
なおかつてNPBには打撃を活かすために、捕手から他のポジションに転向した選手がたくさんいる。
通算2000本安打以上では次の4人だ。
・衣笠祥雄 2543安打(歴代8位)通算2677試合出場 うち捕手として19試合
※平安高校時代は捕手として甲子園出場。広島入団の翌年に、白石勝巳監督の意向で内野手に転向。
・小笠原道大 2120安打(歴代26位) 通算1992試合出場 うち捕手として59試合
高校時代は捕手。実業団時代には内野、外野も守る。日本ハムには内野手として入団するが、捕手として23試合出場。2年目には捕手登録になるが、3年目に再度一塁手に転向する。
・江藤愼一 2057安打(歴代35位) 通算2084試合出場 うち捕手として175試合
高校、社会人時代は強打の捕手。中日入団1年目に一塁へコンバート、全試合出場を果たす。4年目の1962年に捕手に復帰するが、1年で一塁手に戻る。
・和田一浩 2050安打(歴代38位) 通算1968試合出場 うち捕手として73試合
入団した西武には、不動の捕手伊東勤がいたため、5年間控えに甘んじる。その間は捕手以外にも外野や一塁を守ったこともある。打撃を活かすため、6年目の2002年に外野へ完全にコンバートされると33本塁打、81打点、.319の好成績を挙げ、ライオンズの優勝に貢献した。
このほかにも山﨑武司、関川浩一、木村拓也などが捕手から野手に転向している。
昨年の巨人、阿部慎之助のように守備の負担を軽くするために一塁や外野にコンバートを図った例としては過去に田淵幸一、中尾孝義、吉永幸一郎などがいるが、これは森友哉のケースとは別に考えるべきだろう。