高橋監督は岡本抜擢も!? 金本監督は非情さを出せるか? 興味深いセリーグ新人監督の采配【小宮山悟の眼】
キャンプも終わり、いよいよオープン戦が始まる。セリーグは3名の新人監督がいるが、それぞれの監督が描く野球について考えてみたい。
2016/02/27
高橋監督は新戦力を抜擢の予感
先ほど、巨人・高橋監督について、原野球の継承と言ったが、それは、チームのまとめ方に関してのこと。采配の振り方まで、似てくるという意味ではない。むしろ、選手起用に関しては、敢えて新しい戦力を試すのではないか。キャンプ地の宮崎を訪れた時に、そう思わされる出来事があった。
ちょうど高橋監督と話を交わしている時、岡本和真がフリーバッティングを行っていた。快音を響かせていたので、「いいバッターだね」という話をしたのだが、監督から「新監督が就任した時は、何かを変えるいいチャンスですから」という印象的な答えが返ってきた。新監督は岡本を大抜擢するのではないか。直感的に、そう思った。
もし、原監督が今季も指揮を執り続けていたら、三塁のレギュラーは、間違いなく村田修一だろう。守備に関しては計算が立つし、打撃に関しても昨季の二の舞にだけはならないはずだ。だが、新監督なら思い切って新戦力を試すことができる。
金本監督と同様、昨季までのチームメイトに厳しく接することができるのか、という不安はあるが、そこは非情になるしかない。
かつて星野さんが初めて中日の監督に就任した時、当時のチームリーダーだった大打者・谷沢健一さんに「お前が監督なら、谷沢をスタメンで使うか?」と迫り、レギュラーから外れることを納得させたのは、有名な話だ。厳しい言い方になるが、ベテランに引導を渡すのも、新監督の務めのひとつである。
3人の新監督が、どういう風にチームを仕上げ、どういうや球を展開するのか。今季のペナントレースを見ていく上で、大きな楽しみのひとつにしたい。
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小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。